上咽頭がんの再発。手術以外の治療法は?

回答者:林 隆一
国立がん研究センター東病院 頭頸部腫瘍科形成外科科長
発行:2012年5月
更新:2013年11月

  

3年前に2期の上咽頭がんと診断され、抗がん剤(5-FUとシスプラチン)と放射線による化学放射線治療を受けました。幸いそのときはがんが消えたのですが、最近になって再発してしまいました。放射線治療は1度受けた部位に対して再度照射できないと聞きます。やはり、ガンマナイフや、IMRT(強度変調放射線治療)と呼ばれる新しい放射線治療でも受けることはできないのでしょうか? 手術をすると、どうしてもQOL(生活の質)が低下しそうなので、できれば手術以外で治したいと思います。

(山梨県 男性 54歳)

A 新タイプの放射線治療なら可能な場合も

上咽頭がんの治療において基本的には外科的な治療は行われません。理由としては、上咽頭がんは放射線治療の効果が高い腫瘍であること、部位的に完全切除が難しいことや手術の負担が大きいことが挙げられます。 今回の患者さんのように1度放射線による治療を行っている場合は、同じ部位に放射線治療をもう1度行うことは原則としてできません。なぜなら、患者さんが浴びてもよい放射線量の限界を超えてしまうからです。

ただし、ガンマナイフやIMRT、陽子線といった新しいタイプの放射線は病巣のみをターゲットにできる治療法ですので、放射線治療の経験のある患者さんに対しても対応できる場合もあります。

しかし、リスクの高い治療となるので主治医や放射線治療医ときちんと相談した上で判断して下さい。

放射線による治療が難しい場合、その後の治療はやはり化学療法が中心となります。前回行った化学療法の薬剤や投与回数にもよりますが、再度、5-FUとシスプラチンでの治療を行うか、この治療に対し、あまり効果がなかった場合はタキソテールを使用してもよいかもしれません。

5-FU=一般名フルオロウラシル シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ タキソテール=一般名ドセタキセル

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