歯肉がんで20カ所に転移。治療法はないか?

回答者:藤内 祝
横浜市立大学大学院 医学研究科顎顔面口腔機能制御学教授
発行:2012年6月
更新:2013年11月

  

2009年に、右頬と歯茎の間の右リンパ節上部に3㎜ほどの歯肉がんができ、がんの表面をレーザーで焼き、その後、がんの周りを切除しました。術後の抗がん剤治療、放射線治療はしませんでした。2011年の3月に、右頸部リンパ節の下が急激に腫れ、右側歯肉がんの頸部リンパ節への転移と診断されました。TS-1を2週間服用し、腫瘍が3cmほどになったところで切除手術をしました。その後、左右頸部付近への放射線治療を行い、再びTS-1による治療を行いました。しかし、2012年3月末にPET検査を受けたところ、肺、肝臓、脊椎、各リンパ節など20カ所に転移が見つかり、脳転移の可能性もあることがわかりました。原発の扁平上皮がんからの血行性転移で手術は不可能、ゾメタとUFTを服用して、支障がなければ増量し、ブリプラチンによる化学療法を行っていく予定です。今後に向けて、何か少しでもいい方法はないでしょうか。

(岡山県 男性 66歳)

A QOLを配慮した、家族サポートが最も大切

歯肉がんのほとんどは扁平上皮がんですが、頸部のリンパ節や肺などに転移しやすいのが特徴です。がんが脳転移だけでしたら、腫瘍部分だけをピンポイントで照射するガンマナイフという治療法があります。しかし、肺など他の臓器にも遠隔転移していると、脳転移のみ治療するだけではよくなくて、全身療法もする必要があります。

ご相談者のように、他の臓器に複数転移している場合、治療を行うとすれば化学療法が中心ですが、20カ所の転移となりますとそれも困難な場合が多く、通常は痛みを取り除いたり、栄養管理などの緩和治療が中心になることが多いです。あとは、免疫療法を化学療法と併用することもありますが、免疫療法は保険適用外治療で複数回行うことが一般的ですので、100万円以上の治療費がかかってしまいます。

口腔がんは、目に見える特殊ながんということもあり、当院では患者さん全員が精神腫瘍科に診察を受けてもらっています。

しかし患者さんにとって何よりも重要なことは、患者さん本人に対するご家族のサポートです。ご家族が、ご相談者のQOL(生活の質)を考えて、痛みの訴えに耳を傾けたり、栄養をしっかりとるような環境を整えたり、さらには精神的なケアを行ってあげて下さい。

TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム ゾメタ=一般名ゾレドロン酸 UFT=一般名テガフール・ウラシル ブリプラチン=一般名シスプラチン

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