白血球などが減少、体力も低下。治療を続けてよいか
夫(76歳)のことでご相談します。去年の1月、右肺の小細胞肺がんとわかりました。その後、放射線治療+抗がん剤治療を2回受けたところ、がんは幸いにも消失しました。リンパ節にもがんはなく、6月に退院しました。その際、副作用は白血球の減少があっただけでした。ところが、今年になって左肺に1.5センチの小細胞肺がんが見つかりました。抗がん剤を投与されましたが、白血球、血小板、赤血球のすべてが減少し、輸血を受けました。夫は体力も弱っています。このまま今の治療を受け続けてよいものでしょうか。
(埼玉県 女性 73歳)
A 1度中止。体力が回復したら、検討してみるのも
「白血球、血小板、赤血球のすべてが減少している」とお書きですが、これは骨髄抑制といわれる副作用です。骨髄抑制は重大な副作用の1つで、血液をつくる力が落ちることを意味します。たとえば、白血球が減少すると肺炎などの感染症にかかりやすくなりますし、血小板が減少すると歯ぐきから出血したり、内出血を起こしやすくなったりします。とくに肺炎は致命的になることもあるため、注意が必要です。また、赤血球が減少することを貧血といいますが、輸血を受けられたことを考えると、骨髄の機能がかなり落ちていると推察します。
体力の低下も、抗がん剤治療の副作用と考えられます。抗がん剤には、骨髄抑制のほか食欲不振や倦怠感などの副作用もあります。
体力が落ちたまま抗がん剤治療を受けると、効果が出ずに、副作用だけが出てしまうことにもなりかねません。
文面だけから判断すると、少なくとも今は、抗がん剤治療を中止し、体力を戻す治療や緩和ケアに切り替えるのも1つの方法だと思います。抗がん剤治療をやめることで、病状の進行はあるかもわかりませんが、一方では食欲不振や倦怠感などの症状が改善することが期待できます。
体力が回復して抗がん剤治療を再開する際は、標準量より少なめの量で行うのも1つの方法です。抗がん剤の量が少ない分、効果は弱まりますが、副作用も弱まります。両者の兼ね合いを主治医と相談し、検討してみてもよいと思います。