現在、タキソールは3週間ごとの投与だが、1週間ごとがよいか
最近、上皮性卵巣がんの手術を受けました。手術後、タキソールとパラプラチンの併用療法を行っています。タキソールは、3週間ごとの治療を行っています。友人から、「タキソールは、毎週投与のほうが、治療成績がよい」と言われました。1週間ごとの治療に、変えたほうがよいでしょうか。ご意見をお聞かせください。
(島根県 女性 52歳)
A 毎週投与法は「体力に自信がない」「副作用が心配」「高齢者」等の方によい
卵巣がんの治療は1、2回の手術による腫瘍切除と3週間おき、6コースのタキソールあるいはタキソテールとパラプラチンの併用療法が最も有効と考えられています。この治療で、がんが治癒する方としない方がはっきりします。
はっきりするとは言っても、すぐにはわからず、5年しても再発がない方はあのときの治療で治ったのだとあとからわかります。一方、再発された方は、治療後の経過観察中に、腫瘍マーカーの上昇やCTなどで再発が判明し、手術と抗がん剤の治療でも治らなかったのだということが再発の時点でわかります。これが、現在の卵巣がん治療の限界であると思います。
タキソールやパラプラチンの毎週投与法は、再発した方の延命治療として、食欲の低下や吐き気、関節痛など、化学療法の副作用をできるだけ少なくする目的で開発された投与方法です。タキソールは、1回で投与する量を3回に分割しても効果が変わらないことが確認されています。そのため、体力に自信がない方や、副作用が心配な方、70~80歳の高齢者、全身状態不良の方などには毎週投与法もよいと思います。3週間置きの投与方法で治療したら、副作用が強かったという方もこの方法に変更してもよいかもしれません。なお、タキソテールは1回で投与する量を3回に分割すると効果が減弱すると言われています。1週間置きの投与は行いません。
ところで、タキソールを毎週、3週間連続投与する方法が日本で検討されました。パラプラチンは3週に1回と従来通りですが、タキソールをこれまでの3週間置きに1回180ミリグラム(体表面積当たり)ではなく毎週1回80ミリグラム(同)を3週連続投与します。この方法だと、タキソールの投与量が3週間で合計240ミリグラム(同)となり、従来の180ミリグラムよりも約1.3倍増量できました。この新しい方法で、再発までの期間が従来の投与方法よりもやや延長するという効果が確認されました。
ただし、この新しい投与方法は、現時点では標準的な治療とは言えません。今後、欧米でもよい成績が得られれば、標準的な治療になる可能性はあります。