病理診断は手術後か、術中迅速病理検査のどちらがよいか

回答者:関口 勲
栃木県立がんセンター 婦人科医長
発行:2009年6月
更新:2013年12月

  

検査で5センチほどの卵巣腫瘍が見つかりました。卵巣がんの可能性があり、手術で組織を切り取り、病理診断をする必要があるとのことです。手術後に、病理診断をするとのことで、手術は、診断と治療を兼ねるようです。自分で集めた資料の中に、術中迅速病理検査というのを見つけました。手術を受ける場合、病理診断は手術後にしたほうがよいのでしょうか、それとも術中迅速病理検査をしたほうがよいのでしょうか。術中迅速病理検査は、どこの病院でも受けられるのでしょうか。

(兵庫県 女性 55歳)

A 術前に悪性が疑われる場合、術中迅速病理診断が推奨される

卵巣腫瘍が良性か悪性かの臨床診断は画像所見と腫瘍マーカーの値によって、かなり正確に予想することが可能です。この臨床診断で、手術を予定します。卵巣腫瘍の良性、悪性、境界悪性などの確定診断は、手術で摘出した卵巣を、病理医が病理組織診断をして行います。

卵巣腫瘍で、術前に悪性あるいは境界悪性腫瘍などが疑われる場合は、術中に摘出卵巣の迅速病理診断をすることが一般的に推奨されます。

迅速病理診断は、30分ほどの時間が必要です。その間、医師は患者さんの腹腔内を詳細に観察したり、リンパ節の腫れがあるかないかなどを触診したりしています。術中に卵巣腫瘍の確定診断がわかったら、その結果をもとに、術式が決まります。良性なら腫瘍切除のみで終了です。境界悪性、悪性などでは、反対側の卵巣も切除し、子宮全摘、リンパ節生検、大網生検など、術前に説明された手術が行われます。

術中に迅速病理診断がなされずに、術後の病理組織診断で卵巣がんであった場合、一般的には再手術が行われます。当然、患者さんは2回手術を受けることになります。ですから、可能な限り、迅速病理診断をすることが望ましいと思います。しかし、病院では、小児科医、産科医、麻酔科医などと同様に病理医も少ないのが現状です。

主治医によく相談し、確認しておくことが重要です。

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