左後腹膜腫瘍の手術後に類内膜がんと判明。再手術を受けなくてよいか?

回答者:上坊 敏子
社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長
発行:2007年9月
更新:2013年12月

  

1995年7月、39歳のときに、子宮内膜症と診断されました。子宮と卵巣の摘出手術を受け、その後、女性ホルモン補充療法を受けていました。昨年(2006年)11月、左後腹膜腫瘍と診断され、今年の1月に摘出手術を受けました。術中検査では中間性(境界悪性)と診断され、直径6センチほどの病変だけを摘出したと聞きました。手術時間は3時間半ほどでした。その後の病理診断によって、中間性ではなく、悪性の類内膜がんの1C期と確定しました。タキソール+パラプラチンの抗がん剤治療を6カ月行う予定で、現在、4回目が終わったところです。3回目までは、1カ月間隔で受けていました。こうした状況で、以下の点についてお伺いします。

(1)手術についてです。

術中検査では中間性(境界悪性)と診断されたため、病変のみを摘出しました。しかし、悪性であれば、病変の周辺を大幅に切除する大手術を行う予定だったようです。結果的に悪性だったわけですが、再手術を受けることなく、このまま抗がん剤治療だけを受けていて大丈夫なのでしょうか。また、摘出した後腹膜の腫瘍周辺部は切除しなくてよいのでしょうか。

(2)抗がん剤治療についてです。

タキソール+パラプラチンは3週間隔で行うのが基本だそうですが、1カ月単位でもよいのでしょうか。3週間間隔と1カ月間隔とでは、抗がん剤の投与量に差はあるのでしょうか。また、抗がん剤の量は体重や年齢、性別などによって変わるのでしょうか。

(岩手県 女性 50歳)

A 再手術の副障害が強く出る危険性がある

まず(1)についてお答えします。

卵巣がんの治療ガイドラインには、大網やリンパ節を摘出していないために正確な進行期が決定できていない場合には、再度、開腹して、進行状態を十分に確認するのが望ましいと書かれています。これは、不必要な抗がん剤治療をしないためにも重要なことです。

しかし、6センチ程度の腫瘍を摘出するのに3時間半も要したということは、大変な手術だったということです。以前に受けた子宮内膜症の手術による癒着が非常に強かったと推察します。

そうした状態で再度、開腹して大網やリンパ節を切除すると、手技的にも一層困難な手術になると予想され、手術による副障害のほうが強く出る可能性も考えられます。

また、リンパ節を切除したからといって、治癒するとは限りません。進行状態が把握でき、必要でない抗がん剤治療を避けられるメリットはありますが、それが治癒につながるとはいえないのです。そうして考えると、再手術を行わないことも、選択肢の1つといえます。

摘出した後腹膜の腫瘍周辺部の切除については、たとえば、卵巣がんがあって、その周りの腸の表面に転移があった場合には通常、転移巣を切除しますが、後腹膜の周囲を切除することは通常ありません。ですから、この切除手術は必要ないと思います。

今後の手術については、今回の腹腔内の状態をよく知っている主治医と十分に相談してください。

(2)についてお答えします。

「タキソール+パラプラチン」は通常、3ないし4週間間隔で行えば問題ありません。仮に4週間を超えた間隔になっても、1回に投与できる抗がん剤の量には限界があるので、増量するようなことはありません。

抗がん剤の量は、多くの場合、体表面積で決まります。たとえば、ご相談者がお受けになったタキソールも体表面積をもとに投与量を決め、年齢・性別は原則として関係ありません。

体表面積は身長と体重をもとに計算して求めます。

ただパラプラチンの場合は、腎臓の機能を考慮した計算式を使って投与する量を決めます。腎機能を計算するためには、年齢や体表面積をもとにした計算式が用いられています。

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