卵管がんが再発。CAP療法を勧められているが、疑問

回答者:上坊 敏子
社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長
発行:2007年9月
更新:2013年12月

  

2006年の4月に卵管がんの手術を受けました。詳しい病名は、左の卵管に発生した漿液性腺がんで、病変は左卵管と左卵巣、右卵巣の一部にありました。がん細胞は腹水にも認められましたが、リンパ節転移はなく、ステージは2C期と言われました。手術の内容は「準広汎子宮全摘+ダグラス窩腹膜切除+両側付属器摘出+大網切除+骨盤内~傍大動脈リンパ節郭清」といったものでした。その後、タキソールとパラプラチンの抗がん剤治療を5月末から10月初旬まで6回受けました。経過観察中の今年3月の検査から、腫瘍マーカーが上昇し始め、4月中旬にPET検査を受けたところ、骨盤内2カ所に再発していて、腹腔内には数カ所の転移が認められました。今後の治療は、CAP療法が適当と言われていますが、CAP療法で本当によいのか疑問です。再発がんに対する標準治療はなく、個々に応じた治療が必要と聞きました。私のケースに対するアドバイスをお願いします。

(島根県 女性 58歳)

A 同条件の患者におけるCAP療法の治療成績を検討

腹腔内など複数の部位に転移していることを考えると、手術の対象にはならないと思います。考えられる治療法は抗がん剤治療です。

卵管がんに対する治療は、卵巣がんに準じて行われています。卵巣がんに対する第1選択の抗がん剤は、ご相談者もお受けになった「タキソール(一般名パクリタキセル)+パラプラチン(一般名カルボプラチン)」です。しかし、これが奏効せず再発した場合の第2選択は、患者さんの全身状態や再発した場所、がんの組織型など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

ご相談者が現在勧められているCAP療法とは、「エンドキサン(一般名シクロフォスファミド)+アドリアシン(一般名塩酸ドキソルビシン)+シスプラチン(商品名ブリプラチンもしくはランダ)」の3剤併用療法のことです。

このCAP療法はすでにお受けになっている「タキソール+パラプラチン」よりも、副作用は通常、強いといわれています。とりわけシスプラチンは、吐き気と白血球の減少が非常に強く出る傾向があります。

CAP療法に疑問があるということですから、まずは主治医に、再発した卵管がんや卵巣がんに対し、CAP療法で好成績が出ているのか、聞いてみるとよいと思います。かつてご相談者と同じような条件の方で、良好な治療結果が出ているのであれば、選択してみるのもよいでしょう。

しかし、よい結果があまり出ていないようでしたら、別の治療法を検討したほうがよいかもしれません。

副作用のことを考慮すると、単剤か、副作用の少ない2剤を選んで治療を行う選択肢もあります。たとえば、アクプラ(一般名ネダプラチン)、カンプトまたはトポテシン(一般名いずれも塩酸イリノテカン)、タキソテール(一般名ドセタキセル)などを単剤で使用したり、アクプラとカンプト(またはトポテシン)の2剤を併用するなどの方法があります。ただし、カンプト(またはトポテシン)は腸閉塞を起こした人には禁忌であるなど、抗がん剤治療には注意を要する点があります。

また、医師がもし臨床試験に参加しているのであれば、その試験薬を処方してもらうという選択肢もあります。 ところで、質問文を掲載する際には割愛しましたが、お寄せいただいた文面を読むと、主治医に対する強い不信感が垣間見られました。もし本当に不信感が強いのであれば、ご相談者にも医師にもよい状況ではありません。主治医本人やその上司などに気持ちを率直に伝えて、場合によっては、主治医の変更をお願いしてみるのも1つの方法だと思います。

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