粘液性腺がんにおける免疫療法は?

回答者:上坊 敏子
社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長
発行:2007年4月
更新:2013年12月

  

最近、上皮性卵巣がんで手術を受けました。手術内容は標準的なものだそうです。ステージは3A期で、粘液性腺がんとの説明を受けています。抗がん剤のタキソールとパラプラチンの併用療法を受けていますが、私のような組織型はほかの組織型と比べると、その効果は低いとのことです。抗がん剤治療以外で、効果的な治療はないのでしょうか。調べたら、活性化自己リンパ球療法という免疫療法を知りました。この免疫療法についても、意見を聞かせてください。

(茨城県 女性 42歳)

A 受けている治療は適切な化学療法

手術をしてよく調べたら腹膜か大網に小さな転移が見つかったのだと考えられます。ご指摘のように、粘液性腺がんの場合、漿液性腺がんよりも抗がん剤の奏効率(腫瘍縮小効果)は低いのですが、まったく効かないということではありません。ですから、粘液性腺がんも漿液性腺がんと同様に、標準的な化学療法に取り組むことが大切です。

現在、受けていらっしゃる併用療法は、適切な化学療法と言えます。生存に与える効果も期待できると思います。卵巣がんでは、組織型にかかわらず、手術で腫瘍を完全に切除することが重要です。ただし、がんが腹膜に肉眼では分からない小さな転移を起こしている3A期では、手術でがん組織を完全に切除することが難しく、手術だけでがんを抑えきることができません。ですから、化学療法を行うわけです。

活性化自己リンパ球療法については、専門外なので、その治療を行っている施設の担当医からよく説明を受けてください。一般的には、抗がん剤治療を行うと免疫力は落ちます。また、がんが進行して、再発し、燃え盛ってしまうと、どんな治療を行ってもよい治療効果は得られません。ですから、活性化自己リンパ球療法を受けるのだとしたら、がんが勢いを増してからではなく、その前の段階で治療を受けられたほうがよいように思います。現在の状態で、抗がん剤治療と併用すれば、もしかしたらその治療効果が得られるかも知れません。

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