卵巣のう腫での卵巣温存の基準は?

回答者:関口 勲
栃木県立がんセンター 婦人科医長
発行:2005年6月
更新:2013年12月

  

卵巣のう腫で、片側の卵巣はすでに摘出しています。残りの卵巣も摘出すると言われて、卵巣の欠落による症状が心配です。卵巣を温存するかどうか、医師によってばらつきがあると聞いたこともあります。温存できるかどうかの判断基準は何でしょうか。

(東京都 女性 37歳)

A 悪性なら全摘、良性であれば可能な限り卵巣を残す

切除する卵巣腫瘍が良性なら腫瘍のみを切除して、正常な卵巣の組織を温存することは可能です。良性の腫瘍かどうかは術前のMRIやCT検査でほぼ判断できますが、実際には卵巣を切除し、手術中に切除した腫瘍を20~30分で病理検査(迅速病理組織検査)して、良性なら手術は終了します。悪性なら卵巣・卵管をすべて摘出します。

良性の場合、正常な卵巣の組織をどれだけ残せるかは実際に手術をしてみないとわかりません。術後に卵巣の機能が残っていれば、月経がきちんと来るでしょうし、血液検査で女性ホルモンを測定することで確認できます。この手術は、玉ねぎの皮をむいて芯の部分(腫瘍)をくり抜くようにして行います。多くの産婦人科医が日常行っているポピュラーな手術なので、医師によってばらつきがあるということはないと思います。

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