胃がんの腹膜播種は余命1年と聞いたが、卵巣がんも同様なのか?

回答者:勝俣 範之
国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科医長
発行:2005年3月
更新:2019年7月

  

卵巣がんで、2年前に手術を受けましたが、そのとき、腹膜播種が認められました。去年の夏に再発し、パラプラチンとタキソールでの治療を4クール受けたところで、腫瘍マーカーのCA125が1桁にまで下がったため、抗がん剤治療は中止しました。胃がんで腹膜播種が認められた場合、再発後の余命は1年程度と聞いたことがあります。卵巣がんでも同じように、厳しい状態なのでしょうか。

(宮城県 女性 57歳)

A 卵巣がんの腹膜播種と、胃がんの腹膜播種はまったく別

腹膜播種とは、おなか全体にがん細胞が広がる状態のことをいいます。

この状態自体は、卵巣がんによる腹膜播種も胃がんによる腹膜播種も同じですが、元の病気がまったく違うので、この両者を同じに論じることはできません。卵巣がんの腹膜播種は、3期以上のおよそ90パーセント以上の方に起きています。

この方の場合、再発しているので、根治を目指すのは難しいかもしれませんが、卵巣がんは胃がんに比べ、抗がん剤が効きやすいという特徴があります。こうしたことを考えると、抗がん剤を上手に使いながら、がんと共存していくことを目標にされるとよいと思います。

現在はCA125が1桁まで下がったということですから、パラプラチンとタキソールの化学療法が功を奏しているのでしょう。

今後、もしがんが悪化した場合は、化学療法を再開することになると思います。その際は、状況によって、再びパラプラチンとタキソールを使うこともありますし、別の抗がん剤を使う場合もあります。

ところで、ご相談者は「胃がんで腹膜播種が認められた場合、再発後の余命は1年程度」とお書きになっていますが、これは必ずしも正しい認識ではありません。「1年程度」というのは、あくまで中央値であって、実際には1年より長く生きられる方もいらっしゃることを付け加えておきます。

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