手足のしびれによる薬剤変更で、今後が不安

回答者:上坊 敏子
社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長
発行:2011年8月
更新:2013年12月

  

卵巣がんの2B期で、卵巣と子宮を取る手術をしました。がんが骨盤内に広がっており、取り残しの可能性があるため、術後補助療法としてタキソールとパラプラチンの併用で化学療法を行っていました。しかし、手足がひどくしびれて、ほかの治療薬への変更を提案されました。次はどのような薬剤を使うのでしょうか。それは、今回止めてしまった今の薬剤よりも効果は落ちるのでしょうか。また、この手足の症状は、薬を止めてからどのくらいで治るのでしょうか。

(山口県 女性 57歳)

A 効果は同じ。副作用は我慢せずに相談を

手足のしびれ(末梢神経障害)は、タキソールという抗がん剤の特徴的な副作用で、治療を受けた患者さんの約35パーセントに現れるといわれています。副作用の中で、白血球減少に代表される骨髄抑制や腎機能低下などは、数値によって判断することができ、また命に関わる場合もあるので、対策のガイドラインもあります。

一方で末梢神経障害は、命を脅かす症状ではなく、また主観的な感覚なので対策が後回しにされがちです。ですが患者さんにしかわからない、とてもつらい症状でもあります。

末梢神経障害は、日常生活に支障はないけれど気になるという状態をグレード2、日常生活に支障が出ている状態をグレード3としています。グレード2ならば薬の投与量を減らす、投与の間隔をあけるなどの措置をとります。グレード3の場合は薬を変えたほうが安全です。

薬を変える場合は、タキソテールとパラプラチンにする、シスプラチンにするなどの選択肢があります。タキソテールでは末梢神経障害の頻度は8~9パーセントと低く、治療効果はタキソールと大きな差がないとされています。

末梢神経障害の症状には、牛車腎気丸や芍薬甘草湯といった漢方薬、またビタミン剤などを投与するなどの対策もありますが、あまり効果は高くありません。薬の投与を止めてから時間の経過とともに徐々に良くなりますが、個人差があり、何年かかかってようやく治る方もいます。

大切なことは、できるだけ日常生活が可能な治療を受けることです。副作用が出たら、我慢せずにどんな変化があるのか主治医にきちんと伝えましょう。

タキソール=一般名パクリタキセル パラプラチン=一般名カルボプラチン 骨髄抑制=がん治療で抗がん剤、放射線などにより、一定期間、骨髄の造血能が障害される状態 タキソテール=一般名ドセタキセル シスプラチン=商品名ブリプラチン、ランダ

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート4月 掲載記事更新!