ホルモン治療の副作用が心配
10年前に前立腺がんと診断され、前立腺全摘手術を受けました。その後、前立腺の周辺に再発があり、恥骨、腰椎などに転移が見つかり、手術を受けるとともに放射線治療とホルモン治療を続けています。昨年(2022年)6月から、イクスタンジを1年の予定で追加して始めました。最近の診察で、主治医からもう1年ホルモン治療の延長を提案されました。その場合の副作用として骨粗鬆症のリスクが高まるのではないか、心配です。圧迫骨折も経験しているので悩んでいます。
(71歳 男性 静岡県)
A 効果が持続する限りホルモン治療の継続を
がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
前立腺がんの多発骨転移がある場合、生涯の男性ホルモン除去療法が標準的に行われ、イクスタンジ(一般名エンザルタミド)も効果が持続する限り内服を継続していくのが一般的です。このような標準治療が行われない状況として、相談者の場合、骨転移が複数であっても領域として限局的で、放射線治療による根治が可能と考えられる病状にあるのかもしれません。このような病状はオリゴメタスタシス(稀少転移)と呼ばれ、施設によっては期間を限定した男性ホルモン除去療法(イクスタンジなどの新規ホルモン薬併用)と放射線治療により根治を目指します。予定した期間で男性ホルモン除去療法を終了することで、その後の男性ホルモンの回復が期待でき、骨を含む健康度の回復が期待できます。
前立腺がんの骨転移の診断がついている場合、骨転移病巣の骨を丈夫にする作用のあるランマーク(一般名デノスマブ)などの骨修飾薬を使用することができます。骨修飾薬は骨粗鬆症の予防にも有効であるため、その使用について主治医と相談されることをお奨めします。