検査も治療もしないほうがいいと提案されたが

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2024年10月
更新:2024年10月

  

89歳の父のことでご相談です。定期的にクリニックでPSA値を測定していましたが、今年(2024年)8月に17まで上昇していました。それまではほぼ4前後でした。総合病院の泌尿器科を受診し、直腸診で左側の前立腺に硬い箇所があり、がんの疑いがあると言われました。診察した医師からは、「年齢も年齢なので、治療することにより健康寿命を縮めてしまう可能性もあるので、検査も治療もしないほうがいいのでは」と提案されました。医師の判断で間違いはないのでしょうか。

(59歳 女性 静岡県)

80歳を超えたら治療せず経過観察を

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

前立腺がんは年齢とともに増える疾患で、80歳を超える日本人男性の半数以上が前立腺がんを罹患していると報告されています。しかし、そのほとんどは無症状で生命を脅かす可能性が低いため、無症状の80代後半の方の場合、がんの診断がついたとしても治療をせずに経過観察をし、排尿困難や骨転移による痛みなどの症状が出た場合に、治療介入(男性ホルモン除去療法)する方針が一般的です。

がんの診断には針生検が必要となるため、今診断をつけて経過をみていく方針より、むしろ経過をみていきながら上記症状が出た場合に診断をつけて治療を行う方針が選択されるケースが多く、体への負担や医療費負担もより少ないと考えます。

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