術後の食事量が増えない。腹式呼吸は有効か

回答者・山口俊晴
がん研有明病院副院長/消化器センター長
発行:2015年6月
更新:2019年7月

  

早期の胃がんで胃の3分の2を切除する手術を受けました。術後は食事を数回に分け、少しずつ食べるようにしていますが、食事量はなかなか増えません。同じ病院で胃がんの手術を受けた方から「腹式呼吸をすると食欲が出るので試してみては」と言われました。

腹式呼吸は術後の回復に効果がありますか。その方はカラオケもお勧めと言っていました。ほかに食欲が進む方法がありましたら教えてください。

(63歳 女性 千葉県)

腸の動きがよくなると食欲が出ることも

がん研有明病院副院長/消化器センター長の山口俊晴さん

腹式呼吸と食欲は、直接的な関係はないと思います。お知り合いの方が腹式呼吸を勧めたのは、腹部の筋肉を鍛えるためでしょう。患者さんは術後腹部に力を入れるのを怖がり、声も小さくなりがちです。入院中に衰えてしまった腹部の筋肉を鍛える意味で、腹式呼吸やカラオケは有効かもしれません。運動することによって腸の動きがよくなるので、食欲が出てくることはよくあります。散歩やウインドウショッピングなども適度な運動になりますし、気分転換にもなるので患者さんに勧めています。

食欲がないときやお腹がもたれたように感じるときは、無理に食べようとせず、水分(スポーツドリンクなど)の補給だけでも構いません。個人差はあるものの、食べられる量は時間とともに必ず増えていきます。また、味覚や嗜好が変わり、これまで苦手だった物が食べられるようになる患者さんもいます。あせらず、トライ&エラー(試行錯誤)で食べられるものを探してみてください。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート4月 掲載記事更新!