肺、肝臓へ転移。HER2陽性の抗がん薬は

回答者・山口俊晴
がん研有明病院長
発行:2015年12月
更新:2019年7月

  

75歳の父が胃がんですでに肺、肝臓に転移しており、HER2検査をしたところ、分子標的薬を使えることがわかりました。どのような抗がん薬との組み合わせになるのでしょうか。なるべく副作用の少ない抗がん薬を選択することはできますか。

(48歳 女性 東京都)

シスプラチンとゼローダかTS-1を

がん研有明病院長の山口俊晴さん

HER2陽性胃がんでは、通常の抗がん薬にハーセプチンを併用することで、その効果が増強されることが知られています。組み合わせる薬剤としてはシスプラチンとゼローダあるいはTS-1が推奨されています。

ゼローダとTS-1では副作用の出方に少し差があります。ゼローダは吐き気・嘔吐、下痢は生じるものの、消化管毒性は軽減され、フルオロウラシル系にときに見られる激しい下痢は稀とされています。ほかに、手のひらや足裏の発赤や痛み、骨髄抑制などが現れます。稀に心筋梗塞、不整脈、肝臓障害などが現れるケースもあります。

一方TS-1の副作用としては、貧血、好中球などの白血球の減少、食欲不振や悪心、倦怠感、口内炎などがあげられます。また顔面、爪、手足などに色素沈着障害などが現れることがあります。

担当医の説明をよく聞いて、どちらにするか決めるのがよいでしょう。

ハーセプチン=一般名トラスツズマブ シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ ゼローダ=一般名カぺシタビン TS-1=一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム

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