胃がん手術後に胆石。日常生活で気をつけるべきことは?

回答者・山口俊晴
がん研有明病院長
発行:2017年8月
更新:2019年7月

  

一昨年(2015年)に胃がんで手術を受けたのですが、先日みぞおち辺りが激しく痛み出し、病院に行ったところ、胆石が見つかりました。主治医からは、腹腔鏡下手術で胆のうを取り除くことを言われています。胃がんの手術を行い、ようやく体も慣れてきたところ、再び手術を受けることになり、気分的にも落ち込んでいます。胃を切除した際には自分なりに食事に気をつけたりして、今のところダンピング症候群などに悩まされることもなく過ごせていますが、胆のう切除後に、何か日常生活で気をつけるべきことはあるのでしょうか。術後の合併症が心配です。

(68歳 男性 千葉県)

胆のうを切除しても支障はない

がん研有明病院長の山口俊晴さん

胃がん手術後に胆石ができる人は全体のおよそ20~30%と、結構な頻度で起こります。

胃がんの手術では、腫瘍だけでなくリンパ節も一緒に切除しますが、その際に胆のうの運動機能を司る迷走神経を損傷するため、術後に胆のうの収縮機能が低下し、胆石が発生すると考えられています。胆のうの収縮機能が低下すると、胆汁が長い時間胆のうに溜まるため、胆石ができやすくなるとともに、うっ滞した胆汁内の細菌が増殖して、胆のう炎を起こしやすくなってしまうのです。だいたい、術後5年以内に胆石ができる人が多いです。

早期胃がんの手術では、胆のうに分布する迷走神経を温存し、胆のうの機能低下を防止することが行われていますが、進行した胃がんでは、腫瘍を取り除くのと同時に、転移の可能性を考えて、周囲のリンパ節をきちんと切除する必要があり、迷走神経の損傷はやむを得なくなります。したがって、術後に胆石ができる可能性を考えて、あらかじめ胃がん手術時に、予防的に胆のうを切除する施設もあります。

なお、胆のうは切除しても、とくに日常生活に支障はありません。相談者は、腹腔鏡下手術で胆のう切除を受けられるということですが、癒着が少なければ、手術自体それほど難しいものではなく、体への負担もそう大きくはありません。逆に痛むような胆石を放置していると、肝機能障害が起きたりしますので、ためらわずに手術を受けられることをお勧めします。

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