未分化型の胃がん。内視鏡治療は難しいか?
先日、父(76歳)が胃がんと診断されました。大きさは2㎝ほどで、がんは粘膜内に留まっていて、未分化型のタイプと言われました。主治医からは、がんの大きさからすると内視鏡で切除できる範囲内ではあるが、未分化型なので、内視鏡治療ではなく、開腹手術をして切除したほうが良いと言われています。未分化型のタイプでは内視鏡治療は難しいのでしょうか。家族としては、なるべく体への負担の少ない治療を受けさせてあげたいと考えています。
(46歳 女性 鳥取県)
A 内視鏡治療も可能。ただし、切除標本をきちんと調べることが必要
未分化がんと診断された場合、原則的には内視鏡治療は行いません。未分化がんは、分化がんとは異なり、リンパ節や腹膜に転移しやすい性質を持っているからです。
ただし、未分化がんであっても、大きさが2㎝以下で、潰瘍がなく、がんの深さ(深達度)が粘膜に留まっていると思われる病変は、リンパ節への転移の可能性は低いと考えられ、内視鏡治療を行うことがあります。
内視鏡治療後には、切除した標本をきちんと調べることが重要で、腫瘍が予想通りの大きさや深さであることを確認し、リンパ管や血管の中に入り込んでいなければ、追加の治療はとくに必要ありません。ただ、もし腫瘍が粘膜より深く入り込んでいたり、リンパ管や血管に入り込んでいるようであれば、リンパ節転移の可能性が高くなるので、腹腔鏡下もしくは開腹して、胃切除とリンパ節郭清(かくせい)を行う必要があります。その際、早期がんであれば、患者さんの痛みも少なく身体的な負担も小さい腹腔鏡下での手術を行うことをお勧めします。
相談者の場合、まずは内視鏡治療を試みて、切除した標本をきちんと調べるのが良いかと思います。その結果、リンパ節転移の可能性が高いと判断された場合には、追加で手術が必要になりますが、もしその可能性が低いことがわかれば、治療はそれで終了となり、後遺症もほとんどありません。