髄様がん。術後経過観察と予後予測をどのようにするか

回答者:杉谷 巌
がん研有明病院 頭頸科副部長
発行:2010年8月
更新:2013年10月

  

病院の検査で、甲状腺髄様がんと呼ばれる甲状腺の悪性腫瘍とわかりました。遺伝性のものかどうかを調べる遺伝子診断も受けたところ、遺伝性のものではないとのこと。手術を受けるつもりですが、術後の経過観察の仕方と予測される予後について、アドバイスをお願いします。

(徳島県 50歳 男性)

A 術後経過は腫瘍マーカー、予後はリンパ節転移で判別

甲状腺髄様がんは、甲状腺がん全体の1~2パーセント程度のまれながんです。甲状腺の傍濾胞細胞という細胞ががん化して発生します。傍濾胞細胞は、副甲状腺ホルモンと協力して、カルシウムの調節をするカルシトニンというホルモンを作っています。髄様がんには遺伝性のものと遺伝性でないものとがあり、特殊な血液検査で判定できます。遺伝性の場合には、副腎など他の内分泌腺にも腫瘍が多発することがあります。

髄様がんでは、血液検査でCEA(がん胎児抗原)とカルシトニンの測定値が上昇します。CEAとカルシトニンは、術後の経過を見るための腫瘍マーカーとしても有効。つまり、手術後にCEAとカルシトニンの測定値が正常化し、その後も上がってこなければ、再発していないと言えます。そうした場合でも10年ぐらいは経過を見たほうがよいと思います。

髄様がんの予後予測因子としてはリンパ節転移が重要です。リンパ節転移のない場合の予後はよいことが多いのですが、数多くのリンパ節転移がある場合、術後も腫瘍マーカーが下がりきらないことが多いです。

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