のどに親指大のしこり。検査すべきか

回答者:杉谷 巌
がん研有明病院 頭頸科副部長
発行:2012年4月
更新:2013年10月

  

最近、喉仏のすぐ下のあたりが腫れて、親指大のしこりがあることに気がつきました。甲状腺がんの多くは、首のしこりから見つかるという話を聞き、怖くなってまだ病院には行っておりません。やはり検査したほうがいいのでしょうか。

(東京 女性 24歳)

A 基本的な検査を受けましょう

親指大のしこりでしたら、当然検査をしたほうがいいでしょう。しこりががんであるか良性であるか診断するには、基本的に視・触診、超音波検査、穿刺吸引細胞診を行います。同時に、血液検査で甲状腺機能なども見ておいたほうがよいでしょう。シンチグラフィやCT(コンピュータ断層撮影装置)、MRI(核磁気共鳴画像法)は、がんかどうかの診断には通常必要ありません。したがって、費用や放射線被曝のことも考え合わせて、最低限の検査をすることをお勧めします。

甲状腺のしこりの多くは良性ですが、がんでもっとも頻度が高いのは乳頭がんです。全甲状腺がんの9割以上を占めます。濾胞がん(甲状腺がんの5%程度)と違い、超音波と細胞診で比較的容易に診断ができます。若い人にも時々見られますが、幸い非常に性質のおとなしいがんです(怖いタイプの甲状腺がんは高齢者に多く、若年者ではまれです)。検査でもし乳頭がんとわかったとしても、たいていは手術によって確実に治ります。ご質問者の場合、まずは、きちんと検査をして、正確な診断を受けてください。

ところで、超音波検査だと、2~3mmほどの触っても気づかないような小さなしこりも見つけることができます。しかし、そのようなしこりを見つけて、がんかどうかを診断することはお勧めしません。1cm以下の微小乳頭がんで、転移や浸潤の徴候がないものは、ほとんどの場合、生涯無害に経過すると考えられます。がんは、早期発見・早期治療が原則と言いますが、微小乳頭がんのほとんどは「知らぬが仏」で済むようです。

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