赤星たみこの「がんの授業」

【第三十七時限目】医師の選び方 患者さん本人の生き方・考え方を尊重してくれる医師を探せ!!

構成●吉田燿子
発行:2007年1月
更新:2019年7月

  

赤星たみこ(あかぼし・たみこ)●漫画家・エッセイスト

1957年、宮崎県日之影町(ひのかげちょう)のお生まれです。1979年、講談社の少女漫画誌『MiMi』で漫画家としてデビュー。以後、軽妙な作風で人気を博し、87年から『漫画アクション』で連載を始めた『恋はいつもアマンドピンク』は、映画化され、ドラマ化もされました。イラストレーターで人形作家の夫・新野啓一(しんの・けいいち)さんと、ご自身を題材にした夫婦ギャグをはじめ、あらゆるタイプの漫画で幅広い支持を得ていらっしゃいます。97年、39歳の時に「子宮頸がん」の手術を受けられ、子宮と卵巣を摘出されましたが、その体験を綴ったエッセイ『はいッ!ガンの赤星です』(『はいッ!ガンを治した赤星です』に改題)を上梓されました。

編集部 最新の治療法に精通していて、常に患者のことをよく考え、最善を尽くしてくれる医師に巡り会いたい――これはすべての患者さんにとっての悲願だと思います。でも実際には、運を天に任せるようなところもあって、なかなか思うようにいかない。そこで今回は「医師の選び方」について考えてみたいと思います。

赤星 医師の選び方というのは、たしかに難しいですよね。「優しいヤブ医者と意地悪な名医がいたとしたら、どっちを選ぶか」とよく言われますが、名医であるにこしたことはない。ただ、いくら名医でも、もう少し口の利き方に気をつけてくれたらな、と思うことはありますけど。

編集部 がんの場合、他の病気とは違う難しさがあるんですね。がんというのは腫瘍学の領域に属するんですが、日本の大学の医学進学課程には腫瘍学の講座がほとんどないんですね。大学でがんを専門的に学ぶシステムというのがないわけです。

赤星 そうなんですか!

編集部 最近になって腫瘍学の講座を開設した大学も少しはありますが……。だから現役医師の多くは、大学でがんのことを教わっていないわけです。

赤星 はァー。

編集部 日本のがん医療は欧米に比べると20年も30年も遅れている、と言われます。日本はCTやMRI、放射線治療装置など、医療機器の分野では大変進んでいるのに、一般診療の面では非常に遅れている。両極端なんですね。
日本では従来、がんの専門家ではない外科医ががんの治療を行ってきた。専門家ではないのですからヤブ医者が出るのも当然です。その意味でも、専門知識を持ったよい医者を見つけることが必要だと思います。

「手術件数の多さ」も1つの目安になりうるが……

赤星 そういう専門家はどうすれば見つかるのでしょうか。以前、『患者力』の著者である南淵明宏先生からこんなアドバイスをいただいたことがあります。特定の病院の実力を知りたかったら、まずインターネットで病院のホームページを検索して、過去の「手術件数」を調べろと。「手術件数の多さ」も病院選びの1つの目安になりうる、ということですね。

編集部 手術を受ける場合は、たしかにそれが有効だと思います。しかし、がんの治療は手術だけではない。外科的治療や放射線治療、抗がん剤治療などを併用した集学的治療を行わないと、がんという病気はコントロールできないといわれています。
がんというのは、1つの専門領域の治療だけで治せるほど生やさしい病気ではないわけですよ。いろいろな治療法の中からベストの方法をチョイスして組み合わせることによって、初めてがんという病気を乗り越えていける。
したがって外科や内科、放射線科、精神科など部門間で連携して集学的治療を行っている病院かどうか、というのも重要なポイントになるわけです。

赤星 最近よくテレビや雑誌で「名医特集」をやっていますよね。ああいうのはどこまで信用できるんでしょうね。マスコミで「名医」と紹介されたら、患者さんが集中して予約もなかなかとれなくなってしまうだろうし、マスコミで紹介された医師だけが名医というわけではない。マスコミが流す情報を、どういう基準でとらえたらいいのでしょうか。

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