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今まで見つけることのできなかった小さながんも「PET」検査で発見!
「PET」「PET-CT」検査でわかること、わからないこと

監修:小川洋二 阪和インテリジェント医療センター医師
取材・文:繁原稔弘
発行:2009年1月
更新:2013年4月

  
小川洋二さん
阪和インテリジェント
医療センターの
小川洋二さん

これまで見つけることができなかった小さながんも発見できる「PET検査」。最近では、このPET検査を導入する医療機関も 増えているのが現状だ。ただし、ここで注意しておきたいのは、決してPET検査は、万能な検査ではないということ。 そこで本企画では、PET検査で何がわかるのか、そして何がわからないかを整理した。

がん細胞の性質を活かした検査機器

近年、「PET(Positron Emission Tomography)検査」を行う医療機関が増えている。実際、アメリカなどでは「がんが疑われたらまずはPETを(PET First)」という言葉があるほど普及が進んでいる。

「PET検査は、体内に放射性物質を注入し、それが放出する放射線を画像として捉える核医学診断法の一種です。医学をはじめ、理工学や薬学、コンピュータなどの各領域を統合した先進的診断技術であり、現在の日本の医療機関では、がんの診断をはじめ、脳血管障害やてんかん、虚血性心疾患の診断に用いられています」と阪和インテリジェント医療センター医師の小川洋二さんは説明する。

「PET」の「P」は「Positron(陽電子)」、「E」は「Emission(放射または放射物)、「T」は「Tomography(断層撮影)」を意味しており、日本では一般的には「ポジトロン断層撮影法」と訳される。

陽電子とは、プラスの電荷を持った電子のことだ。

通常、「電子」はマイナスの電荷を持っているが、それとは逆に陽電子はプラスの電荷を持っている。

正と負の電荷を持つ電子は、互いに引き寄せ合う性質があることから、陽電子は、すぐに電子と結合して消滅するが、その際に、2本の放射線が正反対の方向へ放出する。

「PET検査は、こうした陽電子と電子の性質を利用して行うがんの検査方法の1つです。がんの早期発見として、現在さまざまな医療機関で取り入れられています」と小川さんは話している。

[PET画像]

PET画像:正常
正常
PET画像:がんを疑う(肺がんの疑い)
がんを疑う(肺がんの疑い)


小さながんでも発見することが可能に

写真:PET検査

これまで見つけることができなかった小さながんでも発見することが可能となったPET検査

これまでがんは、身体に何か変わった症状が起きたりしてから見つかることが多く、がん細胞がある程度進行している場合も少なくなかった。だが、がん細胞自身が自分の位置を知らせるならば、がん細胞が発生した段階で発見ができる。PETは、こうした発想を元に「がん細胞に目印を付ける」という考えで開発された。

「がん細胞は正常の細胞よりも分裂が盛んに行われるため、糖分であるグルコースが多量に必要で、正常細胞に比べると、がん細胞は3~8倍のブドウ糖を取り込みます。そこで、こうした性質を活かして、がんの存在を発見することができないかと考えられました。具体的には、ブドウ糖に似た物質『フルオロデオキシグルコース』、通称『FDG』を混ぜた薬を患者の静脈に注射します。1時間ほどたつと、がん細胞にFDGが集まるので、PETでこれを検出します」

この検査に使われる「FDG」は、ブドウ糖(グルコース)の一部に「ポジトロン核種(=陽電子放出核種)」であるフッ素(F18)を付けたもので、正式名称は「F18-FDG」という。

「『FDG』は放射線を出すことを除けば、普通の物質とまったく変わらない物質です。ただし『F18-FDG』は、半減期が約2時間と非常に短いため、私どものセンターでは、当日の朝早く、薬剤師などがセンター内にある『サイクトロン』と呼ばれる機械で、その日に必要な分だけ合成したものを使用しています」

これまでのレントゲンやCT、MRIなどの検査が、がん細胞の形からがんを見つけるものだったのに対して、PETは、がん細胞の性質を活かしてがん細胞を探す。そのため、従来のCT検査やMRI検査、超音波検査では見つけることが難しかった場所に発生したものや、小さいがん細胞でも見つけることが可能である。

「今までのがん検診では、一般的に15ミリ程度のがんしか発見できませんでしたが、PET検査では、10ミリ以下の小さなものでも発見することができるようになりました」(小川さん)

PET検査の流れ 5時間前から絶食を

一般的なPET検査は、次のような手順で行われる。

(1)検査5時間前から絶食する。

(2)FDGを静脈から体内に注射する。

(3)1時間ほど安静にする。その間に、FDGを血流に乗せて全身に行き渡らせる。

(4)体中の細胞がブドウ糖としてFDGを取り込む(悪性度が高いがん細胞ほどFDGを多く取り込む)。

(5)PETカメラで、FDGから放出されるガンマ線を、体外からPETカメラで撮影する。

ただし、PET検査だけでは判別しにくい部位のがんもあるので、PET以外にCTなどの検査を併用する場合も多い。

「当センターのCTは、PET-CTと呼ばれるPETとCTが一体になったものです。同じ場所でCTを撮影し、その画像を重ねることで、より場所が断定しやすくなります。またPETには反応が出にくかったり、判別が紛らわしかったりした場合の診断も可能な機器です」と小川さんは説明する。

ちなみに、PET-CTは、PET画像とCT画像のずれの無いフュージョン画像(融合画像)を作成できるため、より精度の高い診断が可能となる。

「ただし検査時に、自由に動けるというわけではありませんので、ご高齢の方などで、30分間ジッとしていられない患者さんなどは、正確な診断ができない場合もあります」

[PET-CT検査の流れ]

(1)受付・会計・更衣
本日の検査手順をご説明いたします。
(2)MRI・MRA検査
検査前に血圧を測定いたします。
MRI検査…プラスMRIコースの方
MRI・MRA検査…プラス脳ドックコースの方
(3)問診・身体測定
(4)注射・採血
検査薬(FDG)を静脈注射します。
(5)飲水
余分なFDGを尿とともに体外へ排出するため、お水を飲んでいただきます。
(6)安静 (約60分)
検査の直前に排尿していただきます。
(7)PET-CT検査
検査時間は1回につき約30分。
30分間隔で2回検査する場合があります。
(8)検査終了
検査時間は3~4時間で終了します。
(阪和インテリジェント医療センター資料を一部改変)

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