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早期乳がんのサインである微小石灰化がこんなに鮮明に見えるとは!?
乳がんの超早期発見をもたらす最新マンモグラフィの威力

監修:遠藤登喜子 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター放射線科部長
取材・文:「がんサポート」編集部
発行:2009年1月
更新:2013年4月

  
遠藤登喜子さん
名古屋医療センター
放射線科部長の
遠藤登喜子さん

乳がんの早期発見をもたらすのは、2枚の板で乳房を挟んで、平べったくして撮影するマンモグラフィ検査である。そのマンモグラフィにデジタル型の最新装置が現れた。「画期的」と評判の最新マンモグラフィの威力とは、いったいどんなものか。

40歳以上の女性はマンモグラフィ検診を

写真:富士フイルムで開発されたデジタルフラットパネルを搭載した最新乳房X線撮影装置

富士フイルムで開発されたデジタルフラットパネルを搭載した最新乳房X線撮影装置

乳がんの患者さんにとってはすでにお馴染みであろうマンモグラフィは、X線を使って乳房の撮影をする乳腺専用の検査方法である。ラテン語で乳房のことを「マンマ(mamma)」と言い、これに画像撮影の「グラフィ(graphy)」をつけてそう呼ばれている。左右の乳房を片方ずつ台の上に載せ、圧迫板というアクリルの板で上下・左右に挟んで撮影する。1回の検査に使用するX線の被曝量は極めて微量なので、X線による体への影響はほとんどない。そのマンモグラフィの最新装置が富士フイルムによって開発され、独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターに導入され、治験(臨床試験)が行われたという。その報告をしよう。

年間1万人が命を落とすとされている乳がん。しかもこの死亡率は増加の一途を辿っている。しかし乳がんは、早期に発見して適切な治療を行えば十分に治る病気である。早期に発見すれば乳房も命も失うことはない。その早期発見の手としてわが国では従来、問診と視触診による方法が行われていた。しかし、この検診法で早期の乳がんを発見するには限界があることがわかり、2004年から、厚生労働省は、乳がん検診はマンモグラフィによる検診を原則とし、40歳以上の女性の乳がん検診は従来の問診・視触診に加え、2年に1度はマンモグラフィ検査をするべきという指針を打ち出した。

すでに欧米では、この乳がん検診によって乳がんの死亡率を減らすことができることが証明されている。たとえば米国ではマンモグラフィを取り入れた集団検診が各所で行われ、1987年にマンモグラフィ受診率は28.8パーセントだったのが1998年には66.9パーセントにまで増加している。その結果、50歳以上の女性の乳がん死亡率が約20~25パーセント減少、40歳代でも15パーセント減少した、との報告もされている。

名古屋医療センターに導入された最新マンモグラフィは、このような死亡率減少の引き金となる期待を担ったものである。

100ミクロンの微小石灰化が鮮明に見える

名古屋医療センターを訪れると、早速、放射線科部長の遠藤登喜子さんから、最新マンモグラフィで得られた画像を映し出すモニター室へ案内された。ある患者さんの右乳房全体が映った画像がモニターに映し出された。マンモグラフィは、乳汁を分泌する乳腺組織やがんは白く、脂肪は黒く映し出される。その白と黒のコントラストが明白なのはわかったが、がんと思しきものがどこにあるのかわからない。すると、乳房の下のある部分を画面上でクリック、拡大して見せてくれた。

「どう、丸い小さなプチプチがいくつもあるのが見えるでしょう。最大で130ミクロン、小さいのは100ミクロンほどの微小の石灰化です。これがこんなにシャープに見えるというのはすごいです」

マンモグラフィは、手に触れるしこりはもちろんのこと、手に触れられない小さなしこりや、またしこりになる前の早期がんを微細な石灰化像として見つけることができるのが大きな特徴である。しこりがあると、周囲の乳腺組織よりも濃く(白く)映って見える。そのため乳がんの早期発見に非常に有効な検査手段となる。がん細胞も増殖して密集してくると、栄養が届かなくなり壊死するものが出てくる。そうしたがん細胞の死骸にカルシウムが沈着することを石灰化という。

ただし、見つかった石灰化がすべてがんというわけではない。乳管からの分泌物が結晶化し、そこにカルシウムが沈着する場合もある。良性の線維腺腫が原因で石灰化が起こる場合もある。発見された石灰化のうち、乳がんによるものは約2割といわれている。

「乳がんの石灰化には特徴があり、私たちは、その形と分布の仕方によってがんを判断します。たとえば針のように細いギザギザがあったり、細かく枝分かれしているような石灰化、あるいは多形性といって、大小さまざま、濃淡さまざまな形をしているのはがんを疑います。そうした石灰化が乳管の中につながっていて、1つの枝として広がっているのが典型的ながんですね」

写真:最新乳房X線撮影装置で撮影されたマンモグラフィ

最新乳房X線撮影装置で撮影されたマンモグラフィ。拡大すると、乳房の下部に微小の石灰化が点々と並んでいるのが見えてくる

従来のマンモグラフィの弱点を克服

ただし、マンモグラフィにも弱点がある。閉経前の乳腺の発達した若い女性の乳房では乳房全体が白く映ることもあり、「雪山で白うさぎを見つけるに等しい」といわれるほどがんを見つけるのが難しい点だ。

実は、最新マンモグラフィはこの問題点も克服している。

最新技術を駆使したデジタルフラットパネルを搭載したこの最新マンモグラフィは、光を介せずデジタル信号に変換する直接変換方式により、淡くはっきりしない病巣を見やすい鮮明な画像に表示することができる。乳房など軟部組織の微妙な濃度差も画像化できるため、従来のマンモグラフィでは抽出の難しかった若い女性や乳腺の発達した乳房等も鮮明に撮影できる。また新方式X線検出センサーといって、X線を電気信号に変換する際に、電気的なスイッチを使わずに光をスイッチとして画像電気信号を効率よく読み出す方法を開発し、採用している。これにより50ミクロンという世界最小の画素ピッチを実現。小さな画素で微小の石灰化やがんもくっきりした高画質の画像として見つけられるというわけだ。

写真:コンピュータ検出支援システム

撮影されたマンモグラフィ画像をコンピュータが解析し、乳がんの特徴を示す部位を表示することで、診断をサポートするコンピュータ検出支援システム

マンモグラフィに映った典型的ながんのスピキュラ

マンモグラフィに映った典型的ながんのスピキュラ(『見て視て診るマンモグラフィ画像読影ハンドブック』(遠藤登喜子編:改定第2版 永井書店)より転載)

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