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虫垂がん・注腸検査/CT検査
陰の輪郭、かたまり具合、色調の濃淡を見つける

監修:森山紀之 国立がんセンターがん予防・検診研究センター長
取材・文:黒木要
発行:2008年6月
更新:2019年7月

  
森山紀之さん

もりやま のりゆき
1947年生まれ。1973年、千葉大学医学部卒業。米国メイヨークリニック客員医師等を経て、89年、国立がん研究センター放射線診断部医長、98年、同中央病院放射線診断部部長で、現在に至る。ヘリカルスキャンX線CT装置の開発で通商産業大臣賞受賞、高松宮妃癌研究基金学術賞受賞。専門は腹部画像診断

患者プロフィール
58歳の女性Pさん。右下腹部の鈍痛がしばしば起こり、退く気配がないので、近くの病院にて受診。エックス線注腸検査により、上行結腸の下部に腫瘍とおぼしき陰が写った。CT検査による精密検査を追加して、虫垂がんと確認された。国立がん研究センターを紹介され、手術を受けた

大腸がんを見つけるエックス線検査

Pさんが最初に受けた注腸検査は、エックス線検査の一種です。大腸がんを見つける検査として、よく用いられます。胃がんの検診法の1つに、胃をエックス線で透視する胃透視検査がありますが、検査の手順は基本的に同じです。違うのは病変を鮮明に映し出すための造影剤(バリウム=白い液体)の入れ方です。

胃透視検査ではバリウムと胃を膨らませる発泡剤をのんでから撮影します。注腸検査では下剤によって便を出した後に肛門からバリウムと空気を入れて撮影します。

さてPさんの検査画像ですが、肛門からは1番奥になる上行結腸という部分が映し出されています。1番下の部分に黒い陰があります。赤い矢印で示した部分ががんなのですが、がんであることを示す特徴として、画像的には3つのポイントがあると森山さんは言います。

「まず陰の輪郭がゴツゴツとしていることです。良性の腫瘍はこんな不規則な形をしていません。次に腫瘍をよく見ると、いくつかのかたまりが集まっているように見えます。これもがんの特徴です。3つ目は陰の色調のばらつきです。同じ黒でも濃いところと淡い部分があります。これらを総合的に見て、比較的に容易にがんの診断がつけられました」(森山さん)

Pさんは注腸検査によって、がんの診断がつけられたのですが、同時にCT検査も行っています。

「Pさんは右下腹部の鈍痛を訴えていました。そこで大腸がんだけでなく、虫垂がん、それに卵巣がんや子宮がんなどの婦人科系の病気も疑います。注腸検査ではそれはわからないのでCT検査を合わせるのが通常なのです」(森山さん)

注腸検査画像と解説イラスト
注腸検査で上行結腸の下の部分にゴツゴツした黒い陰が映し出されているのががん

CTでがんの広がりを確認

CT検査画像
CT検査画像解説イラスト

CT検査画像で虫垂に黒い陰がいくつもありがんが存在していることがわかる

CT検査を併せるのはもう1つ理由があります。仮に大腸がんであった場合、どの部位にできているのか、また周囲に広がっているかを見る必要があります。

注腸検査では撮影角度によって死角が生ずることがあるので、CT検査を併せるのだそうです。

Pさんのケースでも、結腸の1番下の部分にがんがあるのはわかるのですが、それが盲腸にできているのか、あるいは隣接している回腸(小腸の最後の部分)と大腸とがつながっている部分(回盲部)にがんができているのか、虫垂にがんができているのかは、この注腸検査の画像のみではわからないのだと言います。

そこでCT検査画像を見ると、上行結腸(大腸)から垂れ下がっている虫垂がはっきりと映っており、そこに黒い陰がいくつもあり、がんが存在していることがわかります。

どの部分ががんである所見なのでしょうか。

「赤い線で示したのが虫垂ですが、中央部だけでなく辺縁にも黒い陰があります。これはそこにもがんが広がっていることを示しています」(森山さん)

では虫垂炎などの疾患とはどうやって区別するのでしょうか。

「虫垂炎でこの大きさになると、炎症が相当広がっていることになります。虫垂の辺縁部には脂肪組織がありますが、虫垂炎などの炎症の場合は、そこがこの画像のように黒くは映らず、白く写るのです。よってがんとの区別は容易につきます」(森山さん)

余談ですが虫垂の上部に1点だけ真っ白に抜けている部分があります。

これは盲腸に滞留した内容物が詰まって長い間に石灰化したもので、糞石と言います。

虫垂がんでは珍しくないそうで、炎症の引き金になるという説もあるようです。

このCT検査により、Pさんの虫垂がんは周囲の臓器に広がっていないことがわかりました。そこでがんを切除して取ってしまう治療方針が立てられました。その後、経過は順調で再発はありません。

なお、大腸がんや虫垂がんを見つける検査として、注腸検査をせずに大腸内視鏡検査を行う場合もあります。

医療施設によって検査機器の整備の仕方、医師の経験等に違いがあるためです。

いずれにしろ、がんの疑いがもたれるケースでは、それらの検査を含めて併せて行うことになります。

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