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喉頭がん・喉頭ファイバー(喉頭内視鏡)
周囲より赤っぽくてゴツゴツと盛り上がっているのを見つける

監修:森山紀之 国立がんセンターがん予防・検診研究センター長
取材・文:黒木要
発行:2008年4月
更新:2013年4月

  
森山紀之さん

もりやま のりゆき
1947年生まれ。1973年、千葉大学医学部卒業。米国メイヨークリニック客員医師等を経て、89年、国立がん研究センター放射線診断部医長、98年、同中央病院放射線診断部部長で、現在に至る。ヘリカルスキャンX線CT装置の開発で通商産業大臣賞受賞、高松宮妃癌研究基金学術賞受賞。専門は腹部画像診断

患者プロフィール
70歳の男性Tさん。1年ほど前から、飲食物を飲み込むときに、ときどき喉の付近が沁みるようになった。それが頻繁に起こるようになったので、近くの耳鼻咽喉科を受診。喉頭がんの疑いが濃厚ということで、国立がん研究センターを紹介された。喉頭ファイバー(喉頭内視鏡)による検査にて、1.8センチ大のがんが見つかった

咽喉を観るための専用内視鏡で確認

喉頭がんは肺がんと並んで、喫煙がリスクとなる代表的な悪性腫瘍です。罹患した人の97パーセントが愛煙家です。

喫煙習慣にプラスして飲酒習慣があると、さらにリスクは増すといわれています。飲酒により喉の粘膜が荒れ、タバコの煙に含まれるタールなどの発がん物質の影響を受けやすくなるからだと考えられています。

飲食物を嚥下するときの沁みる感じは喉頭がんの代表的な症状です。また患者の65パーセントが60歳以上であり、男性の高齢者に多いがんといえます。

Tさんは以上の喉頭がんの因子をいずれも持っていたので、すぐに喉頭ファイバーによる検査が行われました。

喉頭がんを見つける検査は、近年では喉頭ファイバー(喉頭内視鏡)を用いるのが一般的です。耳鼻咽喉科でよく使われる内視鏡で、最近は鼻腔から挿入するタイプが多くなっています。

従来の口腔から入れるタイプに比べて喉頭や咽頭などを観察しやすいのだといいます。

事前に麻酔薬を鼻腔内に噴霧して喉頭ファイバーを挿入するので、痛みはほとんどありません。検査は1分弱で終了します。

赤っぽく見えるのは血管新生のせい

内視鏡画像

がんは増殖すると新しい血管をつくり、血管網は密度が高くなっている

内視鏡画像の解説イラスト

Tさんの喉頭には1.8センチ大のがんが見つかりました。

検査画像をご覧ください。どこががんであるか、わかりますか?

「矢印で囲まれた部分ががんなのですが、周囲の正常な粘膜はツルっとして、いかにも滑らかな感じがします。それに対し、がんの部分は表面が崩れてゴツゴツとした感じに見えます」(森山さん)

実際、手術時にその部分を触れると、硬くゴツゴツしているのだそうです。

2番目の特徴として森山さんが挙げるのは、縞模様のように見える赤い筋です。

「がんは増殖するにあたって、どんどん新しい血管をつくります。自らを養う栄養補給ルートで、これを血管新生といいます。この血管網は周囲の粘膜のそれよりずっと密度が高く、密集しています。血流も豊富なので、全体が周囲より一段と赤っぽく見えます」

3番目の特徴は粘膜の盛り上がりです。

「がんの部分はせり上がるように隆起しており、独特のボリューム感を持っています」(森山さん)

見ようによっては、盛り上がった部分が1つの生物・生命体のようにも見えないでもありません。

輪郭がくっきりとしている

4番目の特徴として、森山さんが挙げたのは、正常粘膜との境界がくっきりとしている点です。

「医師はこれを領域性がある、というような言い方をするのですが、要は1つの塊としてのがんの輪郭を容易に目で追うことができるのですね。輪郭がはっきりとしているということです」

この点が、やはり私たちの目と医師の目の違うところなのでしょう。

私たちは矢印で印をつけてもらって、やっとがんの輪郭をとらえることができるのですが、医師は簡単にそれがわかるのだといいます。これくらいの大きさのがんになると、まず見逃すことはないそうです。

Tさんは、次に治療方針を決めるためのCT検査をしたのですが、周囲のリンパ節への転移は見当らず、手術を受けることになりました。

喉頭がんは、声帯を含め周囲にがんが及んでいるケースが少なくなく、その場合は声帯を切除せざるを得ません。切除範囲が広ければ声を失くすこともあります。

「幸い、Tさんの喉頭がんは声帯にも及んでおらず、声帯を温存する手術を行うことができました」(森山さん)

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