腰椎にも転移。骨の痛みを和らげるには?
昨年(2013年)8月に前立腺がんと診断され、腰椎にも転移していました。ホルモン療法として、*カソデックスを服用し、*リュープリンと*ランマークの皮下注射を受けています。また、骨の痛みを緩和するため、*メタストロン注の投与を受けています。治療後にPSA(前立腺特異抗原)の値が急低下しましたが、治療後6カ月目で上昇傾向になりました。今年4月の検査時に、治療を今後、変更する可能性もあると主治医に言われました。ずいぶん早く治療が効かなくなり、焦っています。若年での前立腺がんは進行が速いと聞きましたが、本当でしょうか。また、骨が痛いままです。痛みを少しでも和らげる方法があれば教えてください。
(51歳 男性 千葉県)
A 放射線の外照射や消炎鎮痛薬、麻薬などがある
センター院長補佐・泌尿器科部長
の赤倉功一郎さん
前立腺がんの進行は、高齢だから遅く、若年だから速いとは、必ずしも言えません。年齢による差よりも、悪性度など、がんの性質のほうが進行に大きく影響します。
骨の痛みを緩和する方法はたくさんあります。例えば、3カ月以上経過しているのであれば2回目のメタストロン注を行うことを考えてもよいでしょう。限局性の痛みで、痛いところがはっきりしている場合には、その箇所に放射線の外照射を行うのもよいと思います。また、*タキソテールなどの化学療法を行うことで、痛みが軽減することもあります。
これらの治療でも痛みが緩和しない場合は、NSAIDs(エヌセイド)という非ステロイド性消炎鎮痛薬(抗炎症薬)、さらには、モルヒネなどの麻薬を考えてもよいでしょう。モルヒネと化学療法など、併用できる治療法もあります。
また、NSAIDs には胃潰瘍などの副作用があるため、使用量に上限がありますが、麻薬には使用量に上限がありません。麻薬は痛みに応じて少しずつ増量していけば、用量を気にすることなく使えます。
*カソデックス=一般名ビカルタミド *リュープリン=一般名酢酸リュープロレリン *ランマーク=一般名デノスマブ *メタストロン注=一般名ストロンチウム89 *タキソテール=一般名ドキタキセル