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患者のためのがんの薬事典

アリミデックス(一般名:アナストロゾール)閉経後乳がんの第1選択アロマターゼ阻害薬3薬の1つ

監修●伊藤良則 がん研有明病院乳腺センター乳腺内科部長
取材・文●星野美穂
発行:2014年11月
更新:2015年2月

  

「乳がん」と一口に言っても、閉経前と閉経後では使用される薬は異なります。今回紹介するのは、閉経後の乳がんの術後の再発予防や、再発・進行乳がんの進行抑制のために使用されるホルモン薬です。アリミデックスは、閉経後乳がんの1次治療の第1選択として使用されている薬です。

どんな薬?――アリミデックス

◎作用――ホルモン陽性閉経後乳がんで エストロゲンの生成を阻害

アリミデックスは、閉経後の乳がん治療に使用されるホルモン薬です。

乳がんにはエストロゲンという女性ホルモンを取り込んで増殖するものと、そうでないものがあります。前者を「ホルモン陽性乳がん」、後者を「ホルモン陰性乳がん」と呼びます。

ホルモン陽性乳がんの場合、女性ホルモンの分泌を抑制したり、取り込みを邪魔したりすることで、がんの増殖を抑えます。そのために使用されるのがホルモン薬です。

エストロゲンは主に卵巣で作られますが、閉経後は分泌が止まっていき、副腎皮質から分泌されるアンドロゲン(男性ホルモン)がエストロゲンに作り変えられます。そのとき使われるのが、脂肪組織などにあるアロマターゼという酵素です。

アリミデックスは、このアロマターゼの働きを阻害することによってエストロゲンを作らないようにする薬の1つです(図1)。このような作用をもつ薬をアロマターゼ阻害薬と言います。

図1 アロマターゼ阻害薬の作用

◎効果――標準治療の第1選択薬3薬はほぼ同等

15年ほど前までは、現在、閉経前乳がんに使われている抗エストロゲン薬のノルバデックスが、閉経後乳がんの標準治療薬としても用いられていました。その後、アリミデックスが初めてのアロマターゼ阻害薬として登場すると、閉経後乳がんにする効果がノルバデックスより高いことが臨床試験で示されました。現在では、アロマターゼ阻害薬がホルモン陽性閉経後乳がんの第1選択薬となっています。

アロマターゼ阻害薬は、非ステロイド型のアリミデックスとフェマーラ、ステロイド型のアロマシンの3種類があります。

日本で行われた大規模臨床試験により、アリミデックスとアロマシンの効果はほぼ同等であることがわかっています(図2)。フェマーラも効果は同等と考えられ、それぞれ副作用の発現率も同程度です。発現する副作用は類似していますが、薬剤の変更によりやわらぐことがあります。

図2 アロマターゼ阻害薬の効果

アリミデックス=一般名アナストロゾール フェアストン=一般名トレミフェン ノルバデックス=一般名タモキシフェン フェマーラ=一般名レトロゾール アロマシン=一般名エキセメスタン

アリミデックスの投与方法

◎対象となる患者さん

ホルモン陽性で閉経後の乳がん患者さんに使用されます。閉経前乳がんに対して有効性を示すデータはありません。

◎服用方法

1日1回、1mg(1錠)を毎日服用します(図3)。

◎使用方法

乳がんの手術後の再発予防のために術後補助化学療法として使用する場合と、再発もしくは転移して手術不能な患者さんへの進行抑制を目的として使用される場合があります。

術後補助療法として使用される場合の至適投与期間は5年間と考えられています。現在、5年以上の服用を行う臨床試験が行われていますが、まだ結果は出ていません。

一方、進行・再発乳がんに使用する場合は、腫瘍の大きさが変わらない、縮小したなど効果が出ている間は継続して服用します。

図3 アリミデックスの服用方法

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