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新適応の薬剤を用いた多剤併用療法が登場

B細胞性リンパ腫の治療薬 R-CHOP療法(リツキサン+エンドキサン+アドリアシン+オンコビン+プレドニン)/VR-CAP療法(ベルケイド+リツキサン+エンドキサン+アドリアシン+プレドニン)

監修●岡元るみ子 千葉西総合病院腫瘍内科外来化学療法センター長
取材・文●柄川昭彦
(2015年11月)

悪性リンパ腫にはいろいろな種類がありますが、日本人に多い「びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)」に対しては、リツキサンの登場で治療成績が大幅に向上したR-CHOP療法が標準治療となっています。同じB細胞性のリンパ腫である「マントル細胞リンパ腫(MCL)」には、VR-CAP療法という新たな治療法が登場してきました。自家移植の対象とならないマントル細胞リンパ腫に、優れた治療効果を発揮します。

多くの種類がある悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、病理学的には非常に多くの病気に分類されています。大きく「ホジキンリンパ腫(HL)」と「非ホジキンリンパ腫(NHL)」に分けられますが、日本人の悪性リンパ腫は、その90%以上が非ホジキンリンパ腫です。

また、細胞の種類によって、B細胞性とT細胞性に分類されます。そして、それぞれに、性格の異なる多種多様な悪性リンパ腫が含まれています。

適切な治療を行うためには、きちんと病理学的な診断をつけなければなりません。それと同時に、実際の治療で使いやすい臨床分類も必要になります。

一般的には、無治療の場合にどのような経過をたどるかによって、悪性度を次のような3つに分類します。年単位で進行するものを「低悪性度(インドレントリンパ腫)」、月単位で進行するものを「中悪性度(中等度アグレッシブ・アグレッシブリンパ腫)」、週単位で進行するものを「高悪性度(高度アグレッシブリンパ腫)」とするのです。B細胞性リンパ腫もT細胞性リンパ腫も、この悪性度によって分類できます(表1)。

表1 非ホジキンリンパ腫の臨床分類

悪性リンパ腫の中で日本人に最も多いのは、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫です。この病気に対しては、R-CHOP療法(リツキサンエンドキサンアドリアシンオンコビンプレドニン)という多剤併用療法が標準治療となっています。

リツキサン=一般名リツキシマブ エンドキサン=一般名シクロホスファミド アドリアシン=一般名ドキソルビシン オンコビン=一般名ビンクリスチン プレドニン=一般名プレドニゾロン

どんな治療?❶――R-CHOP療法

リツキサンで治療成績が向上

リツキサンが登場する以前、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対しては、CHOP療法が標準治療として行われていました。R-CHOP療法からリツキサンを除いた4剤による併用療法です。

この病気には抗がん薬がよく効くため、強力な多剤併用療法がいろいろ考案されました。しかし、それらを比較する無作為化比較試験によって、効果には差がないことが明らかになりました。それならば、最も副作用の軽い治療がよいという理由で、CHOP療法が標準治療となったのです。

このCHOP療法に、その後、新たに開発された分子標的薬のリツキサンが加えられ、R-CHOP療法となります。

リツキサンは、細胞膜にCD20という分子をもつ悪性リンパ腫に対して、治療効果を発揮します。リツキサンがCD20に結合すると、免疫細胞がその細胞を異物と認識できるようになり、攻撃を始めるからです。つまり、リツキサンは免疫力を利用して治療する薬なのです。

通常の抗がん薬とは全く異なる作用をもつため、抗がん薬と併用することで効果が上乗せされます。また、副作用も異なるため、特定の副作用が増強されることはありません。

CHOP療法とR-CHOP療法を比較した臨床試験では、はっきりした差が現れました。5年生存率は、CHOP療法では45%でしたが、R-CHOP療法では58%と向上したのです。リツキサンはCD20が陽性の場合に使える薬ですが、B細胞性の悪性リンパ腫はほとんどがCD20陽性であり、リツキサンを使用できます。

R-CHOP療法が標準治療となったことで、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の治療方針が変わりました。CHOP療法が標準治療だった時代は、再発する可能性が高い進行期はCHOP療法を行った後、可能ならすぐに自家移植が予定されていました。

R-CHOP療法が標準治療になると、それで寛解に入り、リンパ腫が消えた状態が長くなる人が多くなりました。そこで、R-CHOP療法を行った場合は、再燃したら自家移植を検討する、ということになっています。

R-CHOP療法の投与方法

R-CHOP療法は、3週間を1コースとして治療が進められます(図2)。1日目にリツキサン、アドリアシンエンドキサン、オンコビンを点滴し、1~5日目にプレドニンを内服します。医療機関によっては、リツキサンを1日目、他の4剤を2日目に投与することもあります。

病巣が限局していて放射線の照射が可能な場合は、R-CHOP療法を3コース行ってから、放射線療法が行われます。病巣が限局していない場合は、R-CHOP療法を6~8コース行います。

図2 R-CHOP療法の投与法

R-CHOP療法の副作用

R-CHOP療法で使用される薬剤では、次のような副作用が現れることがあります。

リツキサンの副作用で最も問題なのは、薬を投与した時に起こるインフュージョンリアクション(輸注反応)です。発熱、悪寒、皮疹、喉の違和感、鼻づまり、呼吸困難などの症状が現れます。予防薬を投与するとともに投与速度をゆっくりにし、症状を観察しながら、段階的に投与速度を上げていくようにします。

もう1つは腫瘍崩壊症候群です。治療により急激に多くのリンパ腫細胞が崩壊し、尿酸やカリウムなどの物質が一気に血液中に放出されます。それにより、不整脈や腎障害などが起こることがあるのです。これに対しては、電解質のバランスをとり、十分な水分の点滴と尿酸を減らす薬などで対処します。

エンドキサンは、出血性膀胱炎を起こすことがあります。代謝された薬が膀胱内に溜まると、膀胱の粘膜が傷害されるためです。水分をしっかりとり、排尿をがまんしないようにします。

アドリアシンは、心臓への毒性が問題になります。治療前に心電図検査や心臓超音波検査で、心臓の機能を調べます。

オンコビンは、末梢神経障害を引き起こします。手足のしびれがひどくなると、ボタンをかけられなくなったり、歩行に不自由が生じたりします。そうなる前に、薬を減量したり中止したりします。

プレドニンはステロイド薬なので、感染症にかかりやすくなる他、高血圧、糖尿病、骨粗鬆症などを引き起こしやすくなります。

全体的な副作用としては、骨髄抑制による白血球減少があります。これに対しては、白血球を増やす働きのある薬剤であるG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤が使われます。

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