円錐切除後の処置について

回答者●織田克利
東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
発行:2019年10月
更新:2019年10月

  

2019年4月子宮頸がんの検診を受診。高度異形成と診断され、精密検査を受けるように指示され、組織細胞検査を受けるが、高度異形成とは診断されず、再度の細胞検査で高度異形成と診断され、円錐切除を行う予定です。

そこでご相談ですが円錐切除後、病期の進行度の判断にはどのくらいの期間がかかるのでしょうか。主治医からは「円錐切除部位が完治するまで最長3カ月かかる方がいます」と言われました。子宮頸部に病変が残っていた場合、次のアプローチは円錐切除部が完治してから行うのでしょうか。また、円錐切除後、次のアプローチが必要な場合には、どのような方法が考えられるのでしょうか。主人と小学生の子どもの3人暮らしで、長期入院が必要の場合、子どものことを考える必要があり、円錐切除後についてどのようなことが起こりうるのかを教えてください。

(45歳 女性 兵庫県)

再度、円錐切除か子宮摘出かの選択肢がある

東京大学大学院医学系研究科
産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授の
織田克利さん

この患者さんの場合、高度異形成(または上内皮がん)と診断され、円錐切除を受けられるということですが、それにはまず病理結果を確認することが大前提となります。傷口が完治するのに主治医からの説明通り3カ月をみておいたほうが良いでしょう。

高度異形成の術前診断で円錐切除をして、もしも術後に浸潤(しんじゅん)がんが見つかった場合には、早期にがん治療が必要になる場合もあります。

浸潤がんでないことが確認され、円錐切除だけで経過をみられそうな場合には、3カ月経過したところからの評価でも通常問題はありません。

傷口が十分に治癒してない段階で、術後早期に再評価を行っても、正しく診断できない場合や創部からの出血を助長するケースもあります。

円錐部分の傷口が治ったところで、しっかりと再評価するということで良いと思います。いずれにしても、病変の残存がないかを確認しておくことが重要になります。

また再評価のタイミングやその後の経過観察については、病状により個々に対応が変わります。病変の遺残が疑われる場合には、より注意深く検査を行う必要がでてきます。

主治医とよく相談しながら円錐切除だけできれいに取り切れているかを適切なタイミングで評価するということで良いかと思います。

再評価の結果、高度異形成(または上皮内がん)の病変が残っている場合には、追加の治療を考えることになります。

追加の治療は、子宮摘出か、妊娠を望むのであればもう一度、円錐切除を行うかの2つの選択肢があります。この患者さんの場合、お子さんがいて年齢的にも45歳なので、病変が残っている場合には、子宮摘出も充分考慮されると思います。

高度異形成に対する子宮摘出であれば、開腹手術ではなく腹腔鏡手術も考慮の対象になるケースが多いです。腹腔鏡手術で行えば、より短い期間で退院が見込まれますが、開腹手術で行うとしても、術後1週間程度で退院できる場合が多いので、主治医によく相談してみてください。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート11月 掲載記事更新!