高度前立腺生検を勧められたが
毎月1度、泌尿器科を受診していますが、今年(2021年)7月の血液検査でPSA値がそれまでの4.1前後から6.1に上昇しました。そして、CTやMRI検査で白い陰があり、医師から「前立腺がんの可能性がある」と言われました。医師からがんの箇所を正確に把握できるよう、超音波撮影した画像とMRIの画像を融合した画像を見ながら生検する、高度前立腺生検を勧められました。この生検は先進医療で保険がきかないそうですが、このような検査を行ったほうがいいでしょうか。
(75歳 男性 埼玉県)
A 従来の生検より確実に組織を採取できることが期待されている
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
一般論として、期待余命が10年を越える前立腺がんの患者さんには、がんのリスクを評価した後、根治を前提とした治療の提供を考えます。重篤な併存疾患のない日本人男性の場合、78歳以下の方がその対象になると思います。相談者は75歳でPSA値とMRI所見から前立腺がんが疑われているので、診断をつけるための前立腺針生検をお受けになることをお奨めします。
転移のない限局がんの場合、生検で得られる病理学的所見と臨床所見からリスクを評価します。リスクが低めのがんであれば、PSA監視療法で病状変化を経過観察しながら根治的治療を待機する選択肢がある一方で、リスクが高めのがんの場合は、手術や放射線治療などの根治的治療を考慮することになると思います。
MRI・超音波3D融合画像ガイド下前立腺標的針生検では、先に撮影したMRI画像を経直腸超音波画像に融合させ、MRI陽性病変をリアルタイムに超音波画像上で確認しながら同部への標的生検を実施します。融合画像を用いない従来の標的生検と比較して、より確実にMRI陽性病変から組織を採取できることが期待されています。
先進医療の場合、保険診療で行う前立腺針生検の費用に、実施医療機関が設定する先進医療分の料金が加算されます。都立駒込病院でも同生検を先進医療で実施していますが、10万円を先進医療分の料金に設定しています。個人で保険に加入されている場合、契約内容によっては、先進医療分の料金もカバーされます。