術後2年経過。最近発生した痛み、本当に後遺症?
3b期の乳がんで部分切除術とともに腋窩リンパ節の郭清手術を受けました。術後2年が経ちますが、最近になって、肩や首筋、背中などに痛みがでてきました。手術を受けた場所と、反対側の肩の周囲も痛みます。気になって、病院で検査を受けましたが、骨に異常はありませんでした。痛みの原因は、運動障害と呼ぶ手術の後遺症でしょうか。あるいは、再発ということもあり得るのでしょうか。
(山形県 女性 48歳)
A 神経原性の痛みの可能性。まずは体操を
骨に異常がないといわれたとのことですので、おそらく骨シンチグラフィの検査で異常がなかったと思います。ただ骨シンチ検査でも偽陰性があり、精度は100%ではありません。骨に異常がないと言い切ることは、難しいのです。痛みが、徐々に悪化していくのであれば、やはり骨転移を疑うべきです。
ただし、痛みを生じるような骨転移では骨シンチ検査で偽陰性のことはかなり少なくなるので、質問者の場合、痛みが進行性でなければ、現在骨転移がある可能性は低いと考えられます。ただ、3b期と進行していた乳がんであり、将来的には骨に転移する可能性も高く、注意は必要です。
それよりも、手術の影響による創部付近の整形外科的な筋肉痛や関節痛、あるいは乳房切除後の疼痛症候群といわれる神経原性の痛みの可能性が高いです。
まずは、ゆっくり体操を行うなど、凝っている部分を動かしてみください。それでも痛みが続く場合は、主治医に相談して痛み止めなどを処方してもらってはいかがでしょうか?
筋肉痛、関節痛には非ステロイド系抗炎症薬が有効ですが、神経原性の痛みには効きにくく、その場合、リリカなどの飲み薬が処方されます。保険適用ではありませんが、抗うつ剤のパキシルなどのSSRIが処方されることもあります。
痛みがあるとQOL(生活の質)の低下につながりますので、きちんと治療しましょう。通常の処方でよくならない難治性の場合、痛みの治療を専門とするペインクリニックにかかることも考慮します。