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妊娠・出産への抗がん剤の影響は?

回答者:岩瀬 哲
キャンサーネットジャパン 科学ディレクター
発行:2005年5月
更新:2013年11月

  

数年前に左乳房にがんが見つかり、全摘手術を受けました。腋窩(わきの下)リンパ節に転移があり、主治医からホルモン療法、または抗がん剤治療を勧められています。私は31歳で、これから出産も考えているので、抗がん剤治療はためらっています。どうしたらよいでしょうか。

(長野県 女性 31歳)

A 年齢にもよるが、閉経する確率は50%程度

術後の補助療法にはホルモン療法と抗がん剤による化学療法とがあります。術後の乳がん患者さんは、腫瘍の大きさや年齢、がん細胞の悪性グレード、ホルモン・レセプターの有無、HER2蛋白の発現の有無、がんの血管浸潤の程度、腋窩リンパ節転移の数などで、低・中・高リスクの3つに分けます。低リスクでホルモン感受性があればホルモン療法を中心に、高リスクでホルモン感受性がなければ抗がん剤治療が中心になります。

例えば、腋窩リンパ節転移が1~3個なら中リスク、4個以上なら高リスクに入る可能性があります。低リスク・中リスクならホルモン療法だけでよいかも知れませんが、高リスクならさらに抗がん剤治療を加える必要があるかも知れません。

一般的に、ホルモン療法として、LH-RHアナログという卵巣機能抑制剤のリュープリンやゾラデックスを用いた場合には一時的に閉経はしますが、卵巣機能が失われることはありません。

一方、化学療法としては、5-FU(一般名フルオロウラシル)とファルモルビシン(一般名エピルビシン)、エンドキサンの3剤併用によるFEC療法がよく行われています。このFEC療法で閉経する確率は年齢にもよりますが、この方の場合50パーセント以上ではないかと思います(50歳に近いと閉経する確率は高い)。そこで、主治医に腋窩リンパ節転移数はいくつなのかなどをよく聞いて、再発リスクの程度を把握してください。そして、再発リスクと妊娠・出産したい気持ちを天びんにかけて、答えを出してください。

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