温存乳房内に再発。再度の乳房温存治療は可能か
1年半前に乳がんのステージ2と診断されました。乳房温存治療で右の乳房の腫瘍を取り除いて、術後の放射線治療を受けました。さらに、ホルモン療法を始めましたが、うつ症状に苦しんで、途中でやめました。最近、治療を受けた右の乳房にしこりが見つかりました。温存した乳房内に再発したようです。主治医からは全摘手術を勧められています。できれば、再度、乳房温存治療を受けたいと思っていますが、可能なのでしょうか。
(香川県 女性 39歳)
A 可能だが、一般的には全摘手術
ご相談者の場合、一般的には全摘手術後に乳房再建を行うという治療が勧められます。どんな再発かにもよりますが、乳房温存手術を再度受けることも可能です。乳房内再発に対して、再度、乳房温存治療を行ったというデータもかなりあります。
たとえば、国内のある病院では、温存乳房内の再発の大きさが1センチ以下で、リンパ管浸潤なしで、異型度の低い症例30例に、再度、乳房温存手術を行った結果、全摘と同じ治療成績が得られたという報告を発表しています。
また、海外では、乳房内再発に、再度、乳房温存手術を行った場合、再々発する可能性が30~40パーセントだったという報告もあります。ですから、再発の大きさが1センチほどで、断端の余裕を持って切除できた場合、再度の乳房温存手術でもよい治療成績が得られると言えます。それ以上になると、再々発のリスクを考える必要があります。
ご相談者の場合、どのような再発をしたのか、詳しくはわかりませんが、その状態によっては、再度の乳房温存治療もできます。しかし、今述べたようなリスクもあることを知ったうえで、治療法の選択をしてください。
もう1つ、再度の乳房温存手術後に放射線治療を行って、大きな副作用もなく、よい治療成績を得ているという海外の報告もあります。本来、放射線治療は1回だけが原則です。
しかし、2回目の乳房温存手術後にも、再度、放射線治療を行ってよい治療成績を得ている報告もあります。ただし、副作用の観察期間は十分ではなく、一般的にはあまりすすめられません。