放射線治療の技術の高い施設や医師の選び方は?
前立腺がんと診断されました。転移はなく、がんは局所にとどまっているだろうということで、放射線治療(外照射)を勧められています。手術は医療施設や医師によって、技量に差があることはわかります。放射線治療も、施設や医師によって、治療の成果や副作用に差が出るものなのでしょうか。もし技量に差があるとしたら、何に留意して、施設や医師を選べばよいでしょうか。
(熊本県 男性 66歳)
A 診断と治療の医師が別れていることなどがポイント
放射線治療も手術と同様、医師や医療施設によって、治療成績や副作用の出方などは異なります。以下で、よい放射線治療医やそうした医師のいる施設を選ぶポイントを幾つか紹介します。
(1)当然、放射線科医がいることが前提です。なかには放射線科の標榜があっても、放射線科専門医のいない施設もあると聞きます。
(2)放射線科医の役割は、大きく「読影(診断)」と「放射線治療」の2つに分けられ、それぞれに専門医がいます。これら2つの役割をそれぞれ別の医師が担当している施設は、診断、治療ともに充実していると考えられます。
(3)治療のプログラムを立てるコンピュータは高価で、1000万円以上します。しかし、このコンピュータを設置していないと、IMRT(強度変調放射線治療)などの高度な治療を行うことはできません。このコンピュータを設置している施設がより望ましいでしょう。
(4)最も重要なことは、副作用の発生率です。しかしこれは、一般の人が知ることはかなり困難です。
それでも、インターネットや雑誌などで調べられることもあります。それは放射線治療の治療実績です。これは、施設によってはある程度、公開されています。各施設の放射線治療の治療実績、つまり年間に何例の放射線治療を行っているかを調べてみるとよいと思います。
その際には、できるだけ幅広い部位のがんを治療している施設を探してみるとよいでしょう。たとえば、前立腺がんの治療実績だけではなく、肺がんや食道がん、子宮頸がんなど、ほかのがんの放射線治療の治療実績がある施設を探してみるのです。そうした施設では、しっかりした設備があり、優秀な放射線治療医がいる可能性が高い傾向があります。