前立腺がんで治療中。ホルモン療法の休薬が心配

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2005年8月
更新:2013年12月

  

2004年6月に前立腺がんと診断されました。病期はT3N0M0で、グリソンスコアは9です。2004年6月からリュープリン(一般名酢酸リュープロレリン)によるホルモン治療を受け、2004年11月から2カ月ほど放射線治療を受けました。リュープリンの注射は今も受けています。腫瘍マーカーのPSA値は当初の39から0.2以下まで下がっていますが、リュープリンの副作用か、ほてりや発汗、体重増、血糖値、コレステロール値の上昇、頻尿などの症状が出ています。主治医に相談したところ、リュープリンを一時休止して様子を見る「間欠療法」の提案を受けました。間欠療法は、今のところ確立された治療法ではないと言われ、受けるかどうか迷っています。この治療の選択についてアドバイスをお願いします。

(千葉県 男性 70歳)

A ホルモン療法を中止するのも1つの方法

T3N0M0のT3は局所進行がんであることを意味し、N0はリンパ節転移がない、M0は遠隔転移がないことを意味します。グリソンスコアは腫瘍の悪性度のことで、全10段階で表わします。8~10は悪性度が高いことになります。PSAの正常値は4以下なので、現在のPSA値は正常の範囲内ですが、T3であることなどを考えると、再発リスクは高いと言えます。また、出ている副作用のうち、少なくともほてり、発汗、体重増、コレステロール値の上昇は、ホルモン療法の副作用と考えられます。

間欠療法は、ホルモン療法の効果をできるだけ長く持続させるために、休薬期間を設ける治療法です。ホルモン療法によってPSAの値が下がったら薬の投与をやめて、PSA値が再び上昇してきたら薬を再開する方法です。間欠療法も、またホルモン療法自体も、根治を目的にした治療法ではありません。

ご相談者の場合、放射線治療を受けていることから推測すると、根治を目指した治療を行っているものと思います。その前提に立つと、ご相談者の「リュープリンの一時休止」はホルモン療法の間欠療法とは意味合いが少し違ってきます。

前立腺がんに根治放射線治療を行う場合、ホルモン療法と併用したほうが治療成績が良好であることがわかっています。とくに、ご相談者のように、再発のリスクが高い場合は、放射線ホルモン併用療法は効果的です。ただし、その場合、ホルモン療法を行う期間については、6カ月間、1年間、3年間などのケースがあり、結論が出ていません。

リュープリンの投与をすでに1年ほど受けていることと、副作用が強いことを考え合わせると、1度、ここでリュープリンの投与は中止してもよいと思います。リュープリンを中止しても、放射線治療を行っていることを考えると、そのまま治癒に至ることも期待できます。

ただし、リュープリンを中止したことで、PSA値が再び上昇することもありえます。その場合は、リュープリンを再開するとよいでしょう。

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