早期胃がん治療後の、ピロリ菌除菌は有効か
早期胃がんで、胃の中に内視鏡を入れ、内側からがんを切除する内視鏡治療を受けました。手術は成功し、経過も順調です。胃がんは、ピロリ菌が原因で起きると聞きました。私のように、早期胃がんを治療したあとでも、ピロリ菌の除菌治療をしたほうがよいのでしょうか。
(島根県 男性 63歳)
A 有効。保険も適用なのでおすすめ
ヘリコバクター・ピロリという細菌、いわゆるピロリ菌に感染すると胃が炎症を起こします。このような炎症が長く続くと、慢性胃炎という状態になり、慢性胃炎からは胃がんが発生しやすくなるのです。
日本人は、かなりの人が幼児期にピロリ菌に感染し、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因になっています。そこで、ピロリ菌を早期に除菌することによって、日本人の胃がんが減らせるのではないかという意見もあります。
ご相談者のように、早期胃がんで内視鏡治療を受けた方でも、治療後に新たに胃がんが発生することがあります。
内視鏡治療後にピロリ菌を積極的に治療した人と治療しなかった人を比較すると、治療した人のほうが胃がんの発生が少なかったという報告があります。
最近、このデータに基づき、胃がんの内視鏡治療後のピロリ菌除菌が保険収載されました。ぜひとも除菌をされることをお勧めします。
ピロリ菌の除菌治療では通常、抗生物質のアモキシシリン(一般名)とクラリス錠(一般名クラリスロマイシン)の2剤に、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤を加えた3剤を同時に服用します。この3剤併用療法で、70~80パーセントの患者さんは除菌できます。もし、3剤併用療法で除菌できなかったときは、クラリス錠をほかの抗生物質に代えて、2次除菌を行います。
なお、除菌したといっても、胃がんを100パーセント防げるわけではありませんので、定期的な内視鏡検査は必要です。