1期の食道がん、内視鏡で病変切除。今後の治療は?
1期の食道がんと診断され、内視鏡的粘膜切除術を受けました。しかし、病変部を詳しく検査したところ、思っていた以上に進行していたそうです。今後の治療は外科手術と化学放射線療法の2つから選択するように言われていますが、迷っています。
(埼玉県 男性 58歳)
A 確実性なら手術。負担が小さいのは化学放射線療法
ご相談者のこの状況では、現時点では外科手術が標準的な治療だと考えられます。しかし最近では、内視鏡的粘膜切除術後に組織が思った以上に進行していた場合の追加治療として、化学放射線療法を行うことで手術に匹敵する成績が得られるという報告が増えています。内視鏡的粘膜切除術を行った後の化学放射線療法の臨床試験を今まさに行っているところです。
また、内視鏡的粘膜切除術とは関係なく、ステージ1の食道がんに対する手術と化学放射線療法を比較する臨床試験も今、行われています。
これらの臨床試験の結果によっては、今後、内視鏡的粘膜切除術+化学放射線療法か、手術も内視鏡的粘膜切除術も行わない化学放射線療法がステージ1の食道がんの標準治療になる可能性もあります。
ご相談者の場合、治療の確実性という点では、手術のほうが高いと思います。ただ、体に必要以上のダメージを与えることになる可能性もあります。別の視点から言うと、手術までせずに、化学放射線療法で治る可能性も充分にあるということです。化学放射線療法にも副作用は起こりえますが、手術に比べると、体への負担は一般的には小さいものです。
治療法の選択は現状では難しい判断です。かかっている施設が手術と化学放射線療法のどちらを得意としているのか、といったことも大切な判断材料になります。その点も踏まえ、主治医にご相談ください。場合によっては、セカンドオピニオンを受けるのもよいでしょう。