2期の胸部食道がん。手術の安全性が心配
2期の胸部食道がんと診断されました。治療は手術を勧められています。しかし、本などで調べてみると、食道がんの手術はかなり難しく、リスクも高いと書かれていました。手術後1カ月以内に亡くなる(術死する)割合も低くはないと書かれています。こうした事実を知ると、手術を受けるのがとても不安になり、抗がん剤や放射線で治療を受けたほうがよいのではないかと思ってしまいます。抗がん剤や放射線で治る可能性はないのでしょうか。また、手術を受けるにしても、技術の高い医師にしていただきたいと希望しています。そうした先生を見つけるよい方法はないでしょうか。
(高知県 男性 66歳)
A 手術件数の多い施設の検討を
2期の食道がんに対する標準治療は「術前化学療法+手術」です。その際の化学療法(抗がん剤治療)は、シスプラチン(商品名ランダもしくはブリプラチン)と5-FU(一般名フルオロウラシル)の2剤併用です。ただしその場合、状況などによっては、抗がん剤治療を行わずに、手術のみを行うこともあります。
ご相談者がお書きになっているように、食道がんの手術が難しく、リスクが高いのは事実です。とはいえ近年は、以前に比べると、手術の技術も高まり、手術後の管理も改善し、手術の合併症が原因でなくなる頻度もかなり減っています。
一方、手術を希望されない方に対しては内科的な治療が行われます。その場合の標準治療は化学放射線療法です。
術前化学療法+手術と化学放射線療法の治療成績を比較すると、全国の医療施設の平均ではほぼ同等で、治る割合はどちらも50パーセントほどです。ただし、手術の治療成績は施設による差が大きいのが現状で、食道がんの手術件数が多い先進施設では、術前化学療法+手術と化学放射線療法を比較すると、前者のほうがよい治療成績を残しています。
手術を含んだ治療を選択する場合は、手術の症例数の多い施設を選ぶとよいと思います。まず今かかっている施設の手術件数を主治医に聞いてみて、もし少ないようでしたら、紹介状を書いてもらうことなどを相談してみてはいかがでしょうか。そのほか、本や雑誌、インターネットで情報を集めて、慎重に選択することをおすすめします。