化学放射線治療による副作用。我慢して治療を続けるべきか

回答者:安藤 暢敏
東京歯科大学市川総合病院 副院長
発行:2005年9月
更新:2013年10月

  

2004年暮れ頃から食べ物が飲みにくくなり、検査を受けました。その結果、食道がん(食道中央部、リンパ節転移あり)とわかり、化学放射線治療を受けました。放射線治療は終わり、5-FU(一般名フルオロウラシル)とブリプラチン(またはランダ/一般名シスプラチン)による抗がん剤療法を続けています。抗がん剤による副作用なのか、だるさと倦怠感を強く感じます。腫瘍は半分程度に縮小しましたが、消失には至っていないようです。このまま、我慢して、抗がん剤治療を続けるべきなのでしょうか。抗がん剤を変えたり、少量にしたりすることはできないのでしょうか。

(東京都 64歳 男性)

A 腫瘍が消失しないケースでは救済手術も考える

食道がんは3期以上で発見される場合がほとんどです。あなたの場合も3期と考えられます。3期の食道がんに対する標準的治療は欧米と日本とでは異なります。欧米では化学放射線治療が第1選択ですが、日本では第1選択は手術です。ただし、最近、日本でもがん専門病院の1部では3期(2期の1部含む)に対して化学放射線治療に取り組んでいます。この化学放射線治療では、1回で腫瘍が消失する割合は3分の2です。そのうち2分の1は再発しますから、現状では腫瘍が消失するのは全体の3分の1ほどです。

化学放射線治療で消失しない場合、根治を目指す治療法としては手術(救済手術と呼ぶ)しかありません。この救済手術は、通常の手術と基本的には同じです。胸部を開いて食道の腫瘍を切除し、リンパ節をとります。さらに、胃をつり上げたり、小腸や大腸を利用して食道の再建を行います。一般的に手術時間は7~8時間ほどで、かなりの大手術です。しかも、患者さんは、すでに化学放射線治療によって身体的にかなりのダメージを受けています。手術後の傷の治りも悪く、回復力も弱いというハンディがあります。そのため、通常の手術よりも難易度は高くなります。

また、救済手術には2通りあります。1つは化学放射線治療では腫瘍が消失しなかったケースで、もう1つは化学放射線治療で腫瘍が1回は消失したが、数年後に再発してしまったケースです。前者のほうが手術による肺炎や縫合不全などの合併症が出やすく、ハンディが大きくなります。

あなたが化学放射線治療を受けるに至った経緯はよくわかりませんが、腫瘍は消失しなかったとのことですから、次の治療法としては救済手術しかありません。抗がん剤を変えたり、少量にしたりすることでは対応できないと思います。また、救済手術によるハンディもあります。食道がんの手術実績のある病院でよく相談してください。

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