甲状腺がんの手術で、首に傷跡が残ることが心配
25歳の娘のことでご相談します。先日首のしこりに気づき、病院で検査を受けたところ、甲状腺がんの乳頭がんと診断されました。リンパ節転移もあり、手術を勧められていますが、娘は手術を受けたくないと言っています。中学生のころ、ケガで足を手術し、その傷がミミズ腫れのように赤く盛り上がったまま残っているので、首にそのような傷が残ることを心配しているようです。それで、インターネットなどで定位放射線治療という治療法があるということを知り、その治療を受けられないかと言っています。親としては病気が完治することを第一に考えていますが、定位放射線治療などでもよくなるのでしょうか。
(滋賀県 女性 52歳)
A 傷が残らないようにする対策はいろいろある
首のリンパ節転移があることを考えると、やはり手術が勧められます。甲状腺がんの初回治療で定位放射線治療を行うことは、一般的ではありません。通常の放射線治療も、適応にならないでしょう。
傷のことを心配されていますが、甲状腺がんの手術を行うと、ミミズ腫れ状の傷が残る人も、なかにはいます。こうした傷を肥厚性瘢痕といいますが、今では、この瘢痕が起こらないように、いろいろな処置が行われています。たとえば、抜糸を早めに行い、傷にテーピングをしたりします。また、手術後はできるだけ傷に紫外線を当てないようにすることが、傷をきれいに治すことにつながるといわれています。
前記のような対策を講じたり、処置をしたりしても、手術後、肥厚性瘢痕などが起きてしまった場合は、形成外科で傷の修正手術を受けることもできます。
45歳未満の方の甲状腺がん(乳頭がん)は、手術を行えば、治癒する可能性が高い上に、前記のとおり、傷に対する対策もあります。娘さんにその旨をお話しして、改めて手術を勧めてみてはいかがでしょうか。