乳がんから脳転移。効果的な治療法は?

回答者:成田 善孝
国立がん研究センター中央病院 脳神経外科
発行:2007年6月
更新:2013年11月

  

3年前、乳がんと診断されました。診断時に、肝臓への転移もわかり、手術はできない状態とのことでした。そこで、2週間入院して、ハーセプチン(一般名トラスツズマブ)とタキソール(一般名パクリタキセル)の併用療法を受けました。その後も、外来通院で抗がん剤治療を続けてきました。最近、頭痛に見舞われて、検査をしたところ、小脳に5センチの楕円形の転移が見つかりました。担当医からは放射線治療を勧められています。脳に放射線を照射するとのことなので、照射後の障害などが心配です。全脳照射とか、ガンマナイフなど、いくつかの治療法があるようですが、副作用が少なくて、効果的な治療法をアドバイスしてください。

(山梨県 女性 61歳)

A 緊急手術が必要。術後全脳照射を

一般的に、単発の脳転移で手術適応となるのは、大脳で3センチ以上、小脳なら2~2.5センチ以上です。これよりも腫瘍が小さい場合や転移数が数個と少ない場合にはガンマナイフも行われます。

ご相談者の場合、小脳に5センチの腫瘍があるとのことですから緊急手術が必要です。手術後は全脳照射を行います。

標準治療は手術と全脳照射です。日本では、ガンマナイフの効果が強調され過ぎていて、全脳照射が敬遠される傾向があるように思います。全脳照射とガンマナイフのメリットとデメリットについて、主治医から十分な説明を受け、よく相談してから選ぶようにしてください。

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