腫瘍マーカーの数値が高くなり再発の不安
2022年10月、左乳がんと診断され、11月に左乳房部分切除と腋窩リンパ節郭清術を受けました。腫瘍のサイズは1.5㎝でリンパ節転移が1個あり、ステージⅡと診断されました。
ホルモン受容体陽性、HER2陰性、Ki67 41%でした。手術後に放射線治療と、2023年2月からAC療法を4サイクル、ドセタキセルを4サイクル行いました。8月からTS-1とタモキシフェンの服用を開始しました。
今年の7月に近所のクリニックで腫瘍マーカー検査を受けると、CA15-3が38と高く、再発の疑いがあると言われました。その後、CA15-3は31と下がり、結局、再発ではなかったと説明を受けましたが、不安で仕方がありません。
(41歳 女性 東京都)
A 数値が継続的に上昇していななければ再発の心配はない
板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん
乳腺外科医長の上野貴史さん
CA15-3値は乳がんの再発でなくても、子宮内膜症などの婦人科疾患や肝機能低下でも数値が上昇することがあります(偽陽性)。腫瘍マーカーの数値が継続的に上昇している場合には、再発を疑う必要がありますが、そうでなければあまり心配する必要はありません。
乳がん再発で上昇しやすい他のマーカー値(CEA、NCC-ST-439、BCA225等)も上がってなければ、経過観察のみでよいと思います。
画像診断がつく数カ月前に腫瘍マーカーの上昇だけで再発の診断が早くつくこともありますが、遠隔転移の早期発見治療による生存期間の延長は証明されておらず、現在のガイドラインでは定期的な腫瘍マーカーの測定や骨シンチ、胸部レントゲン検査などは不要とされています。腫瘍マーカーを測定する場合には、早期に再発がわかっても治癒は困難であること、「偽陽性」も稀にあるということを理解しておくことが大切です。