胆道ドレナージ、どの方法がよい?

回答者:森実 千種
国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科医師
発行:2013年4月
更新:2013年11月

  

検査により、下部胆管がんと診断され、化学療法による治療を行うことになりました。主治医からは近々黄疸がでる可能性があるといわれています。黄疸の症状が現れたら、胆管に管をいれて胆汁を出す必要があるそうです。そのためには、お腹に小さな穴を開けて、管を通す処置をすることになると説明を受けています。ネットで調べたところ、自分が説明を受けた処置とは異なり、体に傷をつくらないですむ、「内視鏡的胆道ドレナージ」という方法もあると知りました。その方法は自分の場合にはできないのでしょうか。

(神奈川県 男性 62歳)

A 内視鏡がよいが、できない場合もある

図1外瘻と内瘻

胆道が狭くなったり、閉塞してしまっているときに、胆汁の逃げ道をつくる処置を胆道ドレナージといいます。

胆道ドレナージには大きく分けて2種類があります(図1)。

1つは、胆管に溜まった胆汁をチューブを使って体外に排出する「外瘻」という方法です。もう1つは、狭くなった胆管にステントという管を挿入して胆管を再開通させる「内瘻」という方法です。

胆汁は産生され続けるため、外瘻にする場合は、体外につながったチューブに胆汁用のバッグを常につないでおく必要があります。それが、患者さんには大きな負担になります。そのため現在は、できる限り内瘻の処置が選択されます。

また、チューブやステントを挿入する方法自体にも、大きく分けて2種類があります。1つは、上腹部に体外から針をさして挿入する方法です。もう1つは、内視鏡で挿入する方法です。

内視鏡で挿入する方法のほうが、新たに針で体に傷をつける必要がない点や、乳頭切開術が行えるという点でメリットがあるため、現在、好んで用いられています。

乳頭切開とは、胆管が十二指腸に開口する出口であるファーター乳頭部を切開する内視鏡処置です。これを行うことにより、処置後に膵炎の合併症が起こりにくくなる可能性があるというメリットがあります。

これらのことより、内視鏡を使ってステントを挿入するという方法が現在の胆道ドレナージの主流です。

しかし、病状によっては、どちらかの処置を行うこと自体が困難で、限られた選択肢しかない場合もあります。そのため、ケースバイケースで主治医とよく相談して方針を決めていただく必要があります。

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