抗がん薬の副作用怖い。放射線単独は?

回答者:出江 洋介
都立駒込病院 食道外科部長
発行:2013年4月
更新:2014年2月

  

65歳の母が腹部食道のがんと診断されました。がんの大きさは5cmで、ほかの部位への転移はないそうです。医師から、手術か、化学放射線療法のどちらかを選ぶよう言われました。抗がん薬は副作用がとても怖く感じられるので、なるべく使いたくありません。抗がん薬の副作用を教えてください。また、放射線単独では治らないでしょうか。

(山梨県 女性 34歳)

A 放射線単独は一時的。5cmのがんには難しい

腹部食道がんであれば、左開胸で手術を行う場合が多いと思いますが、胸部食道がんで行われる右開胸の手術に比べて患者さんの体の負担はかなり軽くなります。手術後の負担も少なくなります。

最近は、縦隔鏡などを使って左開胸もせずに、腹部に小さな傷をつけるだけで済むような、侵襲を軽減する手術が可能になっています。

しかし、5cmというとステージⅡかⅢにあたりますが、このような進行に対しては、術前に化学療法を行ってから手術を行うのが標準的な選択になるかと思います。

抗がん薬の副作用には、腎機能障害、嘔気・嘔吐、口内炎、血球減少、脱毛などがあります。それぞれに対処法がありますし、脱毛に関しては治療が終われば、しばらくして頭髪は生えてきます。生えそろうのに1年ほどかかります。

化学放射線療法と放射線単独治療の治る率を比べた臨床試験をいくつかまとめて解析すると、化学放射線療法のほうが明らかに生存率が高く、放射線単独は姑息的治療(根治を目指すのではない一時的な治療)という位置づけです。

放射線単独で治る場合も例外的にありますが、大きさ5cmのがんですと、難しいかと思います。

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