肝っ玉弁護士がんのトラブル解決します 40

歯周病と誤診された歯科医師の責任を問えないか?

解決人 渥美雅子(あつみ まさこ) 弁護士
イラスト●小田切ヒサヒト
発行:2013年2月
更新:2014年3月

  

多彩な弁護士活動の中でも家族、相続などの問題を得意とする。2003年より「女性と仕事の未来館」館長。2児の母。2005年男女共同参画社会作り功労者内閣総理大臣表彰を受賞。『子宮癌のおかげです』(工作舎)など著書多数。
渥美雅子法律事務所 TEL:043-224-2624


昨年、歯科医院で歯周病と診断されました。治療を受けて半年が経ったころ、治療した部分の歯茎がはれてきたので、別の歯科医院で診てもらったところ、がんセンターを紹介され、初期の歯肉がんと診断されました。前の歯科医院の医師の誤診の責任を問えないでしょうか?

(50代、男性)

各都道府県の医事紛争処理部門にまず相談を!

大変難しい質問です。「初期の歯肉がん」という診断がなされたとのことですが、一体いつからがん化したと考えるべきなのでしょうか。一般的には歯周病や虫歯で炎症を繰り返していると歯肉がんになりやすいと言われていますが、あなたの場合、最初からがんだったのか、半年治療を続けている間に歯茎の炎症ががん化してしまったのか、あるいは1カ月間様子を見ている間にそうなったのか、その辺の経緯と症状の変化がわからないので、歯科医師が、どの時点でがんを発見すべきであったか見当がつかないからです。しかも、現在歯肉がんの「初期」であるとするならば「もっと前に発見できたはず」とはなかなか言いにくい状況なのではないかと思います。

そこでまず専門家に相談してみて下さい。各都道府県の歯科医師会には医事紛争処理部門が設置されています。そこへ事情を話し、判断を聞いてみて下さい。歯科医師会内部の機関ではありますが、いちがいに歯科医師の味方をするのではなく、ある程度客観的な判断をしてくれると思います。ただ、もう少し第3者的な機関のほうが、信頼がおけるとお思いなら東京の3つの弁護士会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)がそれぞれやっている「医療ADR」に相談して下さい。

医療ADR手続の流れPrint

患者側の代理人弁護士、医療側の代理人弁護士、あっせんの経験豊富な弁護士の3者があっせん人としてあなたのケースを担当し、あっせん、仲裁をしてくれます。申込先の電話番号、手続の流れは次のとおりです。手数料は申立時に10,500円、あっせん期日1回につき5,250円、もし和解が成立したり仲裁判断がだされた場合はそれなりに手数料を払うことになりますが、詳しくは電話でお確かめ下さい。

東京弁護士会紛争解決センター
TEL:03-3581-0031
第一東京弁護士会仲裁センター
TEL:03-3595-8588
第二東京弁護士会仲裁センター
TEL:03-3581-2249

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