子宮頸部の高度異形成。全摘は必要?
がん検診で、「子宮頸部に高度異形成の疑いがある」と言われ、あらためて病院で組織検査をしました。その結果、高度異形成と判断され、担当医からは、「病変が子宮頸部の奥のほうにあるのでコルポスコープ*での観察がうまくいかないため、子宮の全摘をしたほうがいい」といわれています。本当に全摘しなくてはならないのでしょうか。
(山口県 女性 67歳)
A 子宮全摘したほうが確実な治療
高度異形成は子宮頸がんに進展する可能性が高いので、一般に治療の対象になります。高周波メスによる円錐切除術(LEEP)やレーザーを使った円錐切除術がよく行われています。しかし閉経後の患者さんでは、円錐切除に適さないことが少なくありません。
子宮頸がんは、子宮頸部の扁平上皮と円柱上皮の境界部分(扁平円柱境界)に発生します。扁平円柱境は、閉経後子宮頸管の奥に移動しますから、腟のほうからコルポスコープを使って病変を観察することが難しくなります。そのため、今後の経過観察や円錐切除での切除範囲を決めることが困難になります。
円錐切除をしても、取り残しの可能性が高くなります。さらに、腟や子宮が委縮するために、円錐切除が技術的に難しくなります。
そのため、この方の詳細な所見はわかりませんので断言はできませんが、一般論としては、子宮全摘のほうが、確実な治療法だと考えられます。
理由は分かりませんが、「どうしても全摘を受けたくない」というのであれば、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)のタイプを調べてもらってはどうでしょうか?
とくに悪性化しやすく進行が速いタイプのウイルスが検出されたら、子宮頸がんに移行する可能性が高いと考えて、適切な治療を受けたほうが安全です。
*コルポスコープ=膣拡大鏡