森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!
ゆるゆるセルフケア!(26) 中腰のポーズ
森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/
中腰のポーズで寒さを乗り切る
「腰に痛みを感じたりすると、骨に転移したのかなって、とっさにそんなこと考えるわ」とTさん。大腸がんの手術を受けて5年、幸い早期発見だったので術後の生活も経過も順調にいっていました。
はじめはちょっとした身体の不調にも、もしや再発ではと不安に駆られていました。
「どんなことにも慣れてくるものですね。最近は痛みにたいしても、不安にかられながらも、その痛みを主治医にどうやったら正確に伝えられるかを考えて、痛みを観察できるようになってきた」Tさんはいいます。
どういうときに痛みを感じるのか、また痛みの強さを10点満点で評価するとしたら、今感じているのは何点くらいか、その痛みを言葉で形容するとしたら「ずきんずきん」なのか、「きりきり」なのか、そしてその痛みによって自分が困っていることは何か。以上の4つの要素に分けて、痛みを観察します。
痛みだけではなく、体の様々な反応についてしっかり味わい、ていねいに観察するということはヨガで最も重要視していることです。
今回紹介する「中腰のポーズ」は、加齢とともに、また慢性的な運動不足によって衰える足腰の筋肉群を強化します。
もし大きな鏡があるなら、その横に立ってチェックしながら行うといいでしょう。何よりも体のどの部分がどのように使われているのか、内部感覚をていねいに観察しながら行ってください。
ポイントは2点。
一般的に中腰になるといえば「勘違いA」のようになります。けれどもヨガの「中腰のポーズ」は、下腿部(膝から足首の間)がなるべく床に垂直になるようにします。
つまり膝越しにつま先も見えないようなら、膝が大きく前に出た「勘違いA」になっています。せめて膝越しに足指が見える、欲をいえば足の甲まで見えるようにしたいところです。
ところが、膝越しに足の甲まで見えるからといって、脛を立てることに気をとられていると、「勘違いB」になってしまいます。なんだかにらくにできると思ったら、そうなっていると思って間違いありません。つまりお尻を後方に突き出し、上体を深く前傾させています。
ではどうしたら「中腰のポーズ」のコツがつかめるのでしょうか。まず膝の向きに気をつけながら(両足先と両膝は正面に向ける)、見えない空気の椅子に浅めに腰掛けるつもりで行うと「勘違いB」になります。
そ こから体幹を立てていくようにします。起立筋と呼ばれる腰背部の筋肉群が使われているのが、まず感じられることでしょう。骨盤を立てるためには腹筋や大臀 筋(お尻の筋肉)も使われます。そして、重心は後方に移行してつま先が浮き、もう少しで後ろに後ずさりしそうになります。その際のところでキープします。
大腿部の筋肉もぷるぷるしてきます。
うっかりすると首や肩や腕に力が入ってきます。両腕はふんわりした綿の上に緩やかに伸ばしている感じでリラックスしましょう。すると肩や首もリラックスしてきます。
最初は10秒キープくらいから始めましょう。それでも足腰がポカポカしてきますよ。
中腰のポーズ
① 足先を正面に向け、両足を腰幅に平行に開いて立ちます。
② 息を吸いながら両腕を静かにふんわりと前方に上げましょう。
③ 静かに息を吐きながら膝を曲げ、中腰になります。ポイントは2点。曲げた膝越しに足の指が見えているか。つまり横から見て、膝が足先から出ないように、 脛が床に垂直になるようにします。同時に脊柱をなるべくまっすぐ立てるようにしましょう。正しくポーズがとれていると、重心はかかとにきます。うっかりす ると後ろに後ずさりしそうなくらいです。
自然呼吸で30~60秒キープします。
ゆっくり①に戻し、呼吸を整えます。これを2セット行いましょう。
よくある勘違い
A 中腰になるとき注意しないと膝を深く前に曲げてしまいます。
B 脛を立てるように中腰になると上体が前傾します。
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