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森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(30) 椅子をつかった背中立ちのポーズ

イラスト●星奈レイ
発行:2010年4月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

がんとわかってからできるヨガ

椅子をつかった背中立ちのポーズ① 椅子の前の床で仰向けになり、足を椅子の上に乗せる。足幅は腰幅で、手は椅子の足をつかむ。

がんが治る病気になり、手術後にあらわれるさまざまな障害にたいして、その予防と軽減を目的にしたリハビリが近年、クローズアップされています。

そのなかで、私がとても興味を持ったのは、がんの治療前からリハビリを開始する必要性を訴えていることでした(慶応大学医学部・辻哲也氏)。

たとえば呼吸リハビリです。

開胸開腹手術の後は呼吸が浅くなり、そのため痰が出にくくなったりします。手術前から呼吸訓練を行い、その予防や軽減をはかっていく必要があります。

② 椅子の足をつかんだまま、両膝を胸のほうに引き寄せ、足の裏を椅子の前側に置く。足幅は腰幅に。

たとえば浮腫を軽減させるためのリンパマッサージなどもリハビリになります。

こうしたリハビリは、治療前のまだこれといった障害が出てない段階から着手され、治療後に継続されることで、いっそう回復力やQOL(生活の質)を高める効果を発揮します。

本格的ながんリハビリは、チーム医療の中で実施されるのが理想でしょうが、それはそれとして、がんとわかってから、治療開始前にはじめるヨガというのもあっていいのではという思いを深めました。

それもヨガでがんを治すとか、がんに打ち勝つとかいう発想ではなく、どうやってがんと共存していくか、治療過程で現れるであろうさまざまなトラブルとどう付き合っていくのか、恐れず侮らずそのときどきにできる工夫を探っていくという発想です。

③ ゆっくり腰を床に戻し、両手をお腹にあてて呼吸。吐くとき、後半からお腹を少しへこませるようにして、吸うときは、お腹を少し持ち上げるように。10呼吸。

2人に1人が1度はがんになるという時代にあって、ヨガをやっていても、がんになるときはなるでしょう。あたりまえです。

たびたびこの連載の中でもとりあげている乳がん体験者でもあるヨガインストラクター&ヨガセラピストの栗木登志子氏が述懐しています。

「健康にいいはずのヨガをプロとしてやっていた自分が、がんになったというショックが大きかった。でもね、ヨガをやってきたことで、その後を乗り切れたんですよね」

「そうか、そうだろうな……」と思いました。

④ ゆっくり息を吐きながら腰を上げ、足は椅子に乗せる。そのまま10~30秒楽な呼吸で保つ。

リハビリでやることは、たとえば腹式呼吸やリンパマッサージなど、もともと体液のめぐりを良くして、美容と健康に効果的なセルフケア技法です。

今回紹介する「椅子をつかった背中立ちのポーズ」も、がんリハビリにはとても安全で効果的に、自分の体を前向きにとらえていくきっかけをつくってくれるポーズと言っていいでしょう。

ところでヨガの代表的なポーズに「さか立ちのポーズ」があります。床にじかに頭頂をつけて行う逆立ちです。コツをつかんでしまえばとてもらくちんなポーズなのですが、がんとわかって治療を開始する前にマスターするには時間的にも適切ではありません。

「イスを使った背中立ちのポーズ」ならば、だれもが安全に体幹を逆転させる体験を味わうことができます。第一に首や肩が気持ちいい。お腹が楽になる。体の深部で血液やリンパの循環がうながされる感じが実感できます。

でもね、どんなに安全であっても、当人が「ちょっと不安」と思ったらやめておきましょう。

「やってみようかな」と思ったときから始めて、決して遅くはないのですよ。

椅子をつかった背中立ちのポーズ

①4本足の椅子の前で腰をおろし、仰向けになり、膝から下を座面に置きます。足幅は腰幅にしましょう。両手で椅子の手前2本の足をしっかりつかみます。

②両手で椅子の足をつかんだまま、両膝を胸のほうに引き寄せ、足裏を座面の前側に置きます。足幅は腰幅にします。

③ゆっくり息を吐きながら腰を上げ、足が座面に乗るようにします。体幹が逆転するので、そのまま10~30秒楽な呼吸で保ちましょう。

④ゆっくり腰を床に戻し、両手をお腹にあてて、ゆっくりと呼吸します。息を吐くとき、後半からお腹を少しへこませるようにします。息を吸うときは、お腹をいくらか持ち上げるようにします。10呼吸行いましょう。

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