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森川那智子のゆるるんヨガ de ほっ!

ゆるゆるセルフケア!(42)開脚のポーズ

イラスト●星奈レイ
発行:2011年5月
更新:2013年8月

  

森川那智子(もりかわ なちこ)
こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。
『こころがラクになる本』(大和書房)
『リラックスヨガ』(成美堂出版)など
著書多数こころとからだクリニカセンター http://www.kokokara.co.jp/

ポーズ中の瞑想

開脚のポーズ① 両手を腰の後ろにつき、両脚をできる範囲で大きく開く。

ヨガは5000年以上の歴史を持った心身健康法ですが、ポーズの種類はバリエーションを合わせると200種類以上にのぼります。

よく「がんに効くポーズはどれですか」といった質問を受けます。

結論を言うと、どのポーズでもいいのです。いくつかポーズを行うのであれば、同じ方向に体を動かすものばかりを選ぶのではなく、前にまげる、背中を反らす、ねじるなど違った種類のポーズをとりまぜて行ったほうがいいでしょう。

しかし、ポーズの種類があまりにも多いものですから、どれを選べばいいか迷ってしまいがちです。

② 両脚の間に手をつき、軽く息を吸いながらゆっくり息を吐く。このとき肛門を閉じ、お腹を背中のほうに向けて引き寄せる。

重要なことは、次の3点です。

①呼吸とともにゆっくりと自覚的に動作してポーズを完成させる。

②その姿勢で、ふつうに呼吸しながら一定の時間を保つ。

③余分な力を抜き、ポーズによって引き起される内部感覚(筋肉感覚)に気持ちを集中させる。

この③の部分がポーズにおける瞑想です。

③ 息を吸いながら骨盤を立て、胸を前に突き出すようにして、アゴを上げ顔を天井に向ける。

ところで米国臨床腫瘍学会(ASCO)が毎年発行している年報に、その年にがん治療でどのような進歩があったかを記事にまとめたものがあります。

そのなかに、QOL(生活の質)についての1章が設けられていますが、2010年に取り上げられたある報告が注目を集めています。

簡単に引用すると、化学療法に伴う不眠症についてヨガが有効であったという報告です。

2クールの化学療法を受けた832症例中、37パーセントでは不眠症を訴え、43パーセントでは就眠が週に3日は困難になるとしています。

④ ゆっくり吐きながらなるべく骨盤を立てたまま手を前方に滑らせ、上体を前傾させていく。自然呼吸で30秒~60秒保つ。お尻が床から浮かないように留意。

とくに乳がん症例で多く、次いで肺がん症例が続きます。不眠症症例ではうつ症状と疲労感を伴います。

4週間のヨガのプログラムを受診した症例で、不眠症の改善が認められ、疲労感の減少も化学療法のみの対照群12パーセントに対し、ヨガ併用群では42パーセントに達しています。

その理由として、ヨガではある一定の姿勢を保つ間に、呼吸を調整しつつ瞑想をともなう特徴があり、それが化学療法時の不眠症対策には有効と思われるというのです。

これらは経験的には多くの人々によって語られてきたことですが、エビデンス(科学的根拠)として証明されたことは重要です。

⑤ 両膝を閉じ、腕に抱えて休息。これで1セット。

「一定の姿勢を保つ間に、呼吸を調整しつつ瞑想をともなう」という特徴は、ヨガのどのポーズも備えており、言いかえればどのポーズでも有効であるということです。

さて、今回は「開脚のポーズ」を紹介します。

多くの人が苦手とするポーズであり、また間違った行い方をしている人も多いポーズです。このポーズは、骨盤内と下肢への血行を良くします。腿の内側をできる 範囲でじわじわと伸ばしていきます。内部感覚をよく聞いて、「痛っ」と感じたら、その瞬間、足首が緊張してしまいますから、加減しながら進めます。

余分な力を抜き、自分の左右の下肢に向かって緊張する部分はどこか感じ取り、その部分に向けて「余分な力を抜いて」とつぶやきながら行うのがコツです。「その部分に注意を集中している」そのことが、ポーズ中の瞑想です。

開脚のポーズ

① 床に座り、両手を腰の後ろにつきます。両脚はできる範囲で大きく開きましょう。膝や足首をリラックスさせます。

② 両脚の間に手をつき、軽く息を吸いながらゆっくり息を吐きます。このとき肛門を閉じ、お腹を背中のほうに向けて引き寄せます(骨盤を後傾させる)。

③ 息を吸いながら骨盤を立て、胸を前に突き出すようにして、アゴを上げ顔を天井に向けます。

④ ゆっくり息を吐きながらなるべく骨盤を立てたまま手を前方に滑らせ、上体を前傾させていきます。無理のない範囲で十分前傾させ、そのままの姿勢でできる楽な呼吸(自然呼吸)で30秒~60秒保ちましょう。

お尻が床から浮かないように気をつけます。むしろ手の位置はこのままで、両手で床を押して腰を後方に引くような感じです。また会陰部に注意しながら集中します。

上体を前に倒そうとするあまり、膝が内側にねじれる人がいますが、膝頭は天井を向くように注意しましょう。

⑤ 両膝を閉じ、腕に抱えて休息します。これで1セットです。

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