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再発・難治性の悪性リンパ腫のCAR-T細胞療法 キムリアに続き新薬が次々と登場!

監修●下山 達 がん・感染症センター都立駒込病院腫瘍内科医長
取材・文●伊波達也
発行:2021年3月
更新:2021年3月

  

「抗がん薬治療を使わないで治すという時代の入口に立ったという印象です」と語る下山 達さん

2019年5月に保険承認されたCAR-T細胞療法の製剤キムリアは、難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対するがん免疫遺伝子療法として大いに期待されている。

キムリアでの治療を2020年12月現在までに13例と、国内では多くの治療を手がけている、がん・感染症センター都立駒込病院「CAR-T外来」を担当する腫瘍内科医長の下山達さんに、同院におけるCAR-T細胞療法の現状と今後の展望について聞いた。

「CAR-T外来」を設けて積極的に

■図1 CAR-T療法の仕組み




がん・感染症センター都立駒込病院は、血液内科と腫瘍内科が共同で、がん免疫遺伝子療法であるCAR-T細胞療法に当たる「CAR-T外来」を開設して、積極的に患者さんを受け入れている病院だ。

同院のCAR-T外来を担当する腫瘍内科医長の下山達さんはこう話す。

「当外来では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を私が担当しています。現在までの13例中12例がDLBCLに対する治療です。患者さんは、全身状態が良好である必要があるため、年齢の上限は自家移植の適応がある65歳までとしました(現在は70歳まで)」

同院は、2020年3月よりCAR-T細胞療法を開始し、6月の初投与から半年で13例を実施している。数は公表されていないが、承認後最初の1年で全国的に100人ほど治療を受けた患者さんがいると推定されている(2021年2月時点で施行施設は20)。

「当院は、血液内科、腫瘍内科をはじめ、輸血細胞治療科、放射線科、関連各科などが協力体制のもとに、治療前から治療後までチーム医療で対応していることが、多くの患者さんに対して治療ができている要因だと考えています」と、その理由を語る。

そもそも、CAR-T細胞療法とはどういうものか。まずはそこから説明していこう。

CAR-T細胞療法とは、簡単にいうと、患者さんからリンパ球(T細胞)を採って、そのT細胞にがん細胞を認識する遺伝子CAR(キメラ抗原受容体)を導入してCAR-T細胞を作り、それを患者さんに輸注で戻して、CD19を標的にがん細胞を死滅させるというがん免疫療法だ。CD19とは、B細胞に広く発現する抗原で、多くのがん細胞(B細胞腫瘍)に発現しているため、それを特異的に攻撃できるのだ(図1)。

治療の手順だが、まずCAR-Tを作るために必要な、患者さんの白血球を採取するアフェレーシス(リンパ球採取)を行う。

「採取したリンパ球をCAR-Tを製造する研究施設へ輸送して、製造後こちらへ送られてくるまでの間に、CAR-T療法に向けて、患者さんにはブリッジング療法という病状を安定させる抗がん薬治療や放射線治療を行います。さらにCAR-Tが生着しやすくするために、体の中のリンパ球を減らすリンパ球除去化学療法を行います」

そして、CAR-Tが届いたら点滴によって投与するのみだ。投与にかかる時間も30分以内で終わるが、リンパ球採取からここまで最短でも約6週間かかるそうだ(図2)。

■図2 CAR-T療法 治療の流れ

キムリアの保険適用はB-ALLとDLBCLの再発難治性CD19陽性

キムリア(一般名チサゲンレクルユーセル)で治療の対象となるのは、B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)とびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)という2つの白血病だ。

B-ALLとDLBCLのうち、再発した難治性のCD19が陽性の症例が適応となる。

B-ALLの場合は、治療を受ける時点で25歳以下、CD19抗原が陽性の患者さんが適応だ。初発の場合は、標準的な化学療法を2回以上受けて寛解(かんかい)に至らなかった場合。最初の場合は化学療法を1回以上受けたが寛解に至らなかった場合。そして、同種造血幹細胞移植が受けられない、もしくは同種造血幹細胞移植後に再発した場合が適応となる。

一方、DLBCLは、成人でCD19抗原が陽性の再発あるいは難治性のDLBCLの場合。初発の場合は化学療法を2回以上受けたが完全奏功に至らない、もしくは完全奏功したものの再発した場合。再発の場合は、再発後化学療法を1回以上受けたが完全奏功に至らないか完全奏功後再発した場合が適応となる。さらに自家移植後の再発か、自家移植の適応がない患者さんが条件となる。

また、濾胞(ろほう)性リンパ腫(FL)が形質転換したDLBCLである場合には、形質転換後に化学療法を1回以上受け、通算2回以上化学療法を受けたものの、完全奏功がえられない、あるいは完全奏功後に再発した場合が適応だ。

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