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病型ごとに適切な対応が必要 治療が進化しているタイプも

悪性リンパ腫治療の最近の動向

監修●伊豆津宏二 国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科
取材・文●「がんサポート」編集部
発行:2017年4月
更新:2019年8月

  

「インターネットを中心に様々な情報が溢れており、心配も増えますが、医師からよく説明を聞いて、病気をよく知った上で前向きに治療することをお勧めします」と語る伊豆津宏二さん

悪性リンパ腫という名称は、リンパ球に由来するがんをまとめて指している。リンパ節やそれ以外の様々な臓器に生じ、病型によって治療法も異なる。ここでは日本人に多い病型であるびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾(ろ)胞性リンパ腫(FL)、MALTリンパ腫を中心に、最新の治療動向を専門家にうかがった。

血液がんで最も多い悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は、リンパ球(白血球の一種)に由来する。60~70歳代で多い病気だが、若年層での発症例もある。罹患数は、国立がん研究センターが発表した2016年の罹患数予測によると3万1,200人(男性1万7,600人、女性1万3,600人)。血液がんの中で最も多く、白血病(1万4,200人)の倍以上に上る。

「リンパ腫は、リンパ球が悪性腫瘍になる病気を一括りにした名称です。できる場所が様々、タイプも様々なので、それぞれに対応していくことが大切です」と、国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科(前虎の門病院血液内科部長)の伊豆津宏二さんは説明する。

発生場所は、リンパ節かリンパ節以外の臓器で、WHO(世界保健機関)の分類では50種類以上ある。病理検査で診断され、それぞれで治療法が異なる。

「リンパ腫は増えていると言われています。1つの理由に高齢化があります。高齢者に多い病気だからです。そして、診断がより正確になり、これまでならよくわからないがんと言われていたものが、リンパ腫と診断されるようになったということもあります」と伊豆津さん。

人間ドックでたまたま発見も

図1 悪性リンパ腫の病型

(NHL Classification Project, Blood 1997; 89:3909)

悪性リンパ腫は進行の速さによって3つに分類される。数日から数週間で進行する高悪性度、数週間から月単位で進行する中悪性度、月から年単位で進行する低悪性度の3つである。最近は、高・中悪性度をアグレッシブ(急速進行型)リンパ腫、低悪性度をインドレントindolent(緩徐進行型)リンパ腫と呼ぶことが多い。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)はアグレッシブ、濾胞性リンパ腫(FL)とMALTリンパ腫はインドレントに当たる(図1)。

罹患するとリンパ節が腫れることが多いが、それ以外の臓器に病変が現れることもある。

「自覚症状がある場合とない場合がありあます。体の表面近くにできたリンパ節の腫れに本人が気付くこともありますが、リンパ節の腫れが身体の奥にある場合は患者さん本人としては大きくなるまで気付かずに、健康診断や人間ドックの超音波検査でたまたま見つかるケースもよくあります」

病期(ステージ)は、病変部の位置によってⅠ~Ⅳに分けられ、これにB症状(体重減少、発熱、寝汗 [盗汗] )がなければA、あればBとする。ステージⅠとⅡが限局期で、ⅢとⅣが進行期となる(図2)。

図2 悪性リンパ腫の病期(Anm Arbor分類)

●びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 7~8割で寛解、6割で治癒

初回の標準治療では、R-CHOP(リツキサン+エンドキサン+アドリアシン+オンコビン+プレドニン)が行われる。リツキサンは十数年前から使われるようになった分子標的薬で、B細胞の表面にあるCD20という抗原に対して作用する。

「リツキサンは点滴(静注)薬で、血中を通って腫瘍細胞の細胞膜表面に届きます。リツキサンが直接細胞に結合してアポトーシス(細胞死)を起こすシグナルを加えたり、体内のマクロファージやNK(ナチュラルキラー)細胞などの免疫細胞を呼び込んだり、血液中の補体というタンパク質を呼び込んだりと、様々なメカニズムで抗腫瘍効果を発揮します」

進行期ではR-CHOPを6~8コース行うのが標準的治療です。「放射線を照射しやすい部位に病変が限局してある場合は、R-CHOP3コースと放射線治療も選択肢の一つです。ただし、腫瘍の部位によっては放射線治療の合併症が様々に出てくるので、そのようなケースではあまり選択されません」

治療期間中、副作用として最も注意しなくてはいけないのが、好中球減少症だ。好中球が減ると免疫機能が低下して感染症を起こしやすくなってしまう。「好中球をきちんとコントロールすることが大切で、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を、治療と治療の合間に投与する方法があります」

このような治療で寛解(かんかい)に至る率は、「大まかにいうと7~8割以上」(伊豆津さん)に上る。

リツキサン=一般名リツキシマブ エンドキサン=一般名シクロフォスファミド アドリアシン=一般名ドキソルビシン オンコビン=一般名ビンクリスチン プレドニン=一般名プレドニゾロン

自家末梢血幹細胞移植も

図3 自家移植の流れ

初回治療で寛解に至らなかった場合と寛解になったものの再発した場合は、サルベージ治療(救援化学療法)としてR-CHOP以外の薬剤を使った多剤併用療法を行うことが多い。そして、それに感受性があった場合で、患者が65~70歳未満で臓器障害がないなどの条件をクリアすると、自家末梢血幹細胞移植(PBSCT)を行う。

自家移植は、まず血液中から造血幹細胞を選択的に採取し、それを冷凍保存しておく。この細胞は赤血球や白血球や血小板のもとの細胞である。次に極めて強い大量化学療法を行って腫瘍細胞を徹底的に叩いた後に、凍結していた患者自身の造血幹細胞を輸血のような要領で体内に戻す(図3)。

「再発した患者さんでも、この治療を行うことができれば、だいたい半分の方が治癒します。高齢などの理由で自家移植ができない場合は、治癒を目指した治療は難しくなります」

最終的に治癒する人の割合は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫全体で60 %以上とされている。

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